第4章 好き、だから。 〔燭台切光忠/R18〕
「燭台切さん、何か?」
その声に審神者が質問すると、燭台切は少し首を傾げてためらった後、思い切ったように審神者に言った。
「あのね…うーん…主が良ければ教えたごほうびをもらっても良いかな?」
「勿論。私で出来ることなら」
何が欲しいんだろう、と思いながら審神者が答えると、燭台切はおずおずと遠慮がちに審神者に言う。
「その…主を抱きたいんだ」
一瞬、審神者は何を言われたかわからず、驚いて燭台切を見た。
燭台切の審神者をまっすぐ見る目の奥に、欲望が沸き上がっているのがはっきりわかる。
つまりただ抱きしめるという意味では無く、その先の意味のある言葉だ。
まさか刀である刀剣男士からそんな望みを言われるとは思っていなかった。
言葉も無く燭台切を見つめる審神者に、燭台切が気まずそうに口を開く。
「…いや、唐突に悪かったね。忘れてくれて良いよ」
瞬間、審神者は返事をする。
「いえ、抱いてください」
その言葉に燭台切が目を見開く。
「…え、と…ぼくが言うのもなんだけど、無理に返事をしてくれなくても良いんだよ」
少し慌てたような燭台切の様子に、審神者は手を伸ばし燭台切の片腕に触れる。