第1章 ぼくを困らせる可愛い主 〔にっかり青江/R18〕
「可愛い」
「もぅ、そうやってまた誤魔化す」
「ぼくのことはいいじゃないか。それよりほら、早くそれを終わらせないと。時の政府へ今日中に提出しないとならないんじゃないのかい?」
「あっ、そうだった。一人でこれは出来るから青江さん解放するね。でも、後で今の話し、聞かせてもらうから」
璃杏は暗に一人して欲しい、と言ってきたのでぼくは審神者部屋から「じゃあ必要が有ったら呼んでおくれよ」と出た。
本丸の廊下を歩いていると、縁側に座ってのんびりとお茶を飲む三日月と小狐丸がいたので話し掛けた。
「失礼するよ。何をしているんだい」
「おお、にっかり青江か」
「見てください、粟田口の短刀たちが育てた花が咲いたんですよ」
三日月と小狐丸に言われて視線の先を見やると、そこにはいろいろな花が可憐に咲いていた。
「これはこれは。世話も大変だったろうね」
ぼくが感心して言ったところへ、短刀の一振り、乱藤四郎がやって来た。
「花の世話か?よくこれだけの世話をしたな」
三日月が乱に話し掛けると、乱は嬉しそうに可愛らしい笑顔を見せる。
「うん、みんなで毎日お世話したんだよ。少しお花を主さんのお部屋に飾ろうと思ってね」
よく見ると乱の片手には花ばさみがあった。