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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第1章 オレにはしてくんねーの?《松野千冬》




閉じた蛍の唇をぺろりと舐めれば、おそるおそる口が開いた。
そこにまた、今度はゆっくりと舌を入れて、耳を塞ぐ手に少しだけ力を入れながら蛍の熱くて溶けそうな口の中を舌で撫で回す。

舌先で上顎を撫でて。
震えながら逃げそうな蛍の舌を根元から舌ですくって絡めて。
ぢゅ、とわざと音がなるように、蛍の舌を強く吸って。



「ぁ…ッん、ふ」
「ン、チュッ、蛍きもひい?」
「は、ンぁ…、ぅん…っ」
「逃げんな、…絡めて」
「ァん、んッ」



耳を塞げばキスの音が脳内に響くから、相手の感度が上がる。

高校生にもなると、男子の間でそういう類の話はよく聞くもので。
彼女ができると携帯でも調べるようになるし、知らないうちに知識が身についた。

蛍を怖がらせないように。
二度としたくない、嫌だと思われないように。

好きだから、どうしようもなく愛おしいから、大事にしたいし、気持ちよくなってほしい。



「ん、もぅ、ゃ…苦しい…ッ」
「鼻呼吸しろっつの…」
「よ、余裕ないもんっ…千冬うまいし気持ちよすぎて…!」
「そっ…急に褒めんなよ…」
「ん…ね、ちふゆ…続き…」
「ッ…あ゙〜今の腰にキたわ」



止まんなかったらゴメン、と低く呟けば、返事の代わりにオレの左手に擦り寄る蛍。
あらわになった蛍の首に、まだ痕が残らないように気をつけながら軽くキスを落としていく。

服の襟で隠れている鎖骨…ここなら見えねぇか?と思って、鎖骨の少し下に強く吸い付いた。
赤い花弁のような、オレのっていうシルシ。



「い゙っ……え、なに…?」
「キスマーク。しばらく消えねーから、あんま襟が開いた服着るなよ」



蛍の親父さんにバレたら、たぶん親父さんは泣き崩れるだろうし。
オレの言葉に恥ずかしそうに、けど可笑しそうに笑う蛍。

なんか余裕そうだな、と思って、左手の指で蛍の右の耳たぶをこすり、左耳に口付ける。
耳たぶを吸って、穴の付近を舐めて、耳輪を甘噛みした。

同時に、蛍の服の裾から空いている右手を入れて脇腹をツ…と撫でれば、ビクッと蛍の体が大きく跳ねる。
そのまま手を止めずに腰へ回せば、ゾワゾワと蛍に鳥肌が立った。

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