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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第4章 じゃあ、オレのになって《三ツ谷隆》●





「んぅ、チュッ、み、つやく…ッもしかして酔って、」
「ねぇよ」
「っ」



唇を押し付けて、私の唇を割ろうとしている舌から逃れるように胸を押せば、三ツ谷くんは眉間にシワを寄せて、熱っぽい目で私を見つめていた。

腰をグッと抱き寄せられ、背中にも腕がまわって力強く密着させられるから、胸が三ツ谷くんに当たって羞恥心が半端じゃない。
慌てて顔をそらすけど、背中にまわっていた手が私の顎を捕らえて、あと数ミリで唇が触れそうなほど近距離で、切なそうに目を細めた三ツ谷くんはゆっくりと、額をくっつけながら言葉を紡ぐ。



「隆って呼んで」
「え…」
「ずっとそばにいてほしい」
「ぅ、えっ?」
「もう離れたくねぇ…」
「ちょ、っと三ツ谷くん、」
「ずっと好きだった」



何とか離れようともがいていたけど、最後の言葉で抵抗をやめた。
無意識に涙腺が緩んできて、逆らうことなくそれは頬を伝う。
私の目尻に溜まる涙をちゅ、と吸い取り、顎を捕らえていた手を頬に添えられて…

頭がおかしくなりそうだ。
お酒が入ってるせいもあるかもしれないけど、三ツ谷くんが、…高校時代からずっと好きで、でも告白する勇気がなくて、諦めてしまっていた恋が、今…もしかしなくても、実ろうとしているのだ。



「蛍」
「っな、に…」
「そういう目で見れる、って、何?」
「ぇ」
「…オレさぁ、…や、気持ち悪ぃかもしんねーけど、高校ン時からずっとお前のことそういう目で…」
「ちょっ、と待ってお願い!頭の中整理させて!?」
「……ん」



次々と口走る三ツ谷くんの口に両手を当てて、何も喋れないように押さえる。

まるで獲物を狩るような三ツ谷くんの目は、ギラギラと光っていて。
暗闇だからよくは見えないけど、きっと三ツ谷くんも顔が真っ赤なはずだ。私の手に熱が伝わってきているし…。

いや、そんなことより、三ツ谷くんの言葉を整理しなければ。

高校の時から、三ツ谷くんは私のことが好きだったらしい。
つまり、私と三ツ谷くんは両片想いだった、ということ。
それから、三ツ谷くんはずっと私のことを“そういう目”で見て…え、だ、抱ける?私を?



「…そんなことってあるの…?」
「? 好きだ蛍」
「っだからちょっと黙ってて三ツ谷くん!」



…待って、私今“三ツ谷くん”って何回言った?


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