第4章 じゃあ、オレのになって《三ツ谷隆》●
好きでもない女を抱く趣味はない…つまり、私のことを高校時代から好きだから、最初から三ツ谷くんにとって私は…
「もう限界だワ」
「え、!?」
「何年待ったと思ってんだよ」
グイッと私の手を口から退けると、三ツ谷くんは私を抱き上げた。
横向き…つまりお姫様抱っこというやつで。
人生初のお姫様抱っこが、何年も想い続けた人に捧げることができた私の人生は、もうハッピーすぎてエンドしてしまうかもしれない。
6cmの高さのヒールをポイポイ脱がして、三ツ谷くんは抱き上げている私を重そうに顔を歪めることもなく、淡々と廊下を進む。
乱暴にドアを足で開けて着いた場所は、恥ずかしくて予想したくなかったけど実は予想していた、三ツ谷くんのベッドが置いてある寝室で。
開け放したドアを閉めることなく、ギシッとスプリングの音を鳴らして私をそっとベッドに下ろした。
「ま、ほんとに待って、ねぇ三ツ谷く、」
「隆って呼べッつったろ」
「た、隆くん、ねぇ、」
「蛍は」
「ぅえ」
「オレのこと好きか…?」
ゆっくり、私が嫌がっていないか確認しながら、三ツ谷くん…隆くんはベッドに乗り上げ、私に覆い被さってきた。
その重みでベッドが沈み、久しぶりの生々しさに呼吸が整わなくなる。
「っす、…ぁ」
「ん?」
「ッ…す、き…ずっと、前から、…隆くんが、好きです…っ」
数年越しの想いを…ようやく伝えられた。
感極まって、涙がこぼれてこめかみを伝い落ちれば、隆くんはふっと笑って…涙を拭いながら、額や頬にキスを落とす。
その、あまりの優しさに、耐えきれなくなって隆くんに抱きついた。
「っ…好き、隆くんが好きッ」
「オレも好きだ、蛍」
優しく微笑む隆くんが、キスをしてくれる。
今までの彼氏とは比べ物にならないくらい、あまりにも気持ちよすぎるキスに、腰が勝手に浮いて…
そこに手を差し込んだ隆くんは、まったく抵抗しない私の服の裾から手を差し込む。
下着越しに胸の中心を親指で押されれば、舌を絡め取られて喋れない私の口から「んぁ…ッ」と小さく声が漏れた。
「好きでもない女は抱かない、ってオレ言ったよな」
「っ…ん」
「蛍、…抱いていいか…?」
「…それ、聞くの…?」
もどかしさに上目遣いで見れば、隆くんは嬉しそうに笑った。