第3章 甘えて、いい…?《佐野万次郎》●
「っぁ、んぅ…っ、ま、じろ、」
「は…チュッ、ん、なぁに?」
「も、っ…ぁ、ほし、…ッ」
そろそろ…と思って万次郎の胸を押して唇を離せば、いやらしく光る糸が私と万次郎の唇を繋いでいて。
ちゅる、とそれを啜ると同時に、足の付け根に当たる硬いそれに気づいてしまった。
胸からそのまま手を滑らせて、ズボンの上からそっとそこに指を這わせれば、万次郎の腰がピクッと反応する。
「ッ、蛍こら」
「ねぇ…っ」
「え〜?」
快感が走ったらしく、一瞬だけ眉を動かしたけど……楽しそうに、口角を上げて目を細める万次郎は、耳をいじっていた親指の爪を立てて、カリッと耳たぶを引っ掻いた。
また下腹部が疼いて、体の奥が強く波打つ感覚がした。
「んッ…おねが、っ、触って…?」
「どこを?」
「ぁ、や、っいじわる、やだ…ッ」
「しょうがないなぁ〜」
クスクスと笑いながら、万次郎は「エマのパジャマ、汚さないようにしねーとな?」と耳元で囁いて…腰をまさぐっていた手を私の脇腹まで回して抱き寄せ、その手を上昇させて下着のワイヤーに触れた。
万次郎の手の動きに合わせて、ゾクゾクと快感が走った……直後だった。
「っん、…っ?」
ふと、違和感を感じて。
心地よくて閉じていた目を開けて、見慣れた部屋の壁を見つめるけど。
何が何だかよくわからない。
そんな私の異変に気づかない万次郎は、私の耳の下から首筋にかけてキスをしたり、舌を這わせたりしている。
同時に、まだ緩めていない下着のアンダー部分から手を差しこみ、胸の膨らみに触れようとして…
「…ぇ、まんじろ、待っ、ストップ…!!」
「ん、は?」
「あ、れ?…なに、これ」
「どした?」
「わ、かんな…何か、こわい…っ」
「…え」
こわ、い…怖い?
勢いよく、密着していたお互いの体から離れて、無言で見つめ合う。
すると万次郎から離れてようやく気づいた、私の体の酷い震え。
指先や、唇も、目視できるほど酷く、カタカタと震えていた。
「…怖い、って…」
「ち、ちが、万次郎が怖いとか、そういうのじゃ、なくてっ…」
「いや、うん、わかるけど…」
「なん、で…やだ、止まってよっ」
──『蛍チャンの肌スベスベだなぁ〜』