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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第13章 パステルピンク《今牛若狭》●





「ワカはな、来る者拒まず去るもの追わずのどうでもいいヤツばっか相手してきた。…つまり本命童貞だ」



若狭くんとのお付き合いがスタートして、数ヶ月たった頃。
そんなことを荒師くんに耳打ちされ、意味がわからないまま迎えたクリスマスイブの夜。
初めて若狭くんのお家にお泊まりすることになり、私はその言葉の意味を理解するよりも先に…地獄を見た。



「っも、むり、やだぁわかさくん…っ」
「じゃあ締めつけンなよ」
「あ、んん゙っ」
「オレどんだけ我慢したと思ってンの、ねぇ、蛍わかる?オレの気持ち」
「わ、っかんな、…ゃ、ああッそ、こ…〜〜ッ」
「〜ッは…やば、またイった?かぁわい…おい隠すなよ、蛍のイイ顔が見えねぇだろ」



彼の手で両手を束ねられてしまえば、さらに逃げ場がなくなる。
抵抗なんてできない。まさに異名通り…彼は獰猛すぎた。

でもこんな若狭くんは、白じゃなくて黒だと思うな!
ぜんっぜん“白”じゃない!!



「運命的な再会であーんな可愛いパンチラされてさ…我慢できたオレすごいと思わない?」なんて後ろから攻められながら耳元で囁かれると、勝手にお腹の奥がきゅんと疼いてしまって。
耳元で喋らないでと息も絶え絶えに掠れる声でなんとか伝えても、その耳に舌が這い…全く休ませてくれない。
汗ばんだ手で愛撫され、前後不覚になるくらい揺さぶられて。
かと思えば甘く激しいキスをされて、時おり愛を囁かれる。

ハジメテは痛い。
なんて言ったのは、どこの誰だっけ?きっと何かの間違いだと思う。
だって、こんなにも…痛いの“い”の字すら想像できないほど、脳が蕩けてしまいそうなのに。
心臓も、体も、言葉どおり壊れてしまいそうなのに。

何度許しを乞うても、お願いしてもやめてくれない若狭くん。
気絶できたら良かったのに、道場で体力がついてしまったせいでそれすらも叶わなくて。



「ここ好き…っ?」
「んっや、ぅ…ああっ」
「ね、名前呼んでよ、若狭って」
「〜わ、…かさ、ぁ…ッ」
「ッは、くっそ、かわいすぎだバカッ」





その後の数日間、のどや腰の痛みと全身の筋肉痛でまともに動けず部屋に引きこもっていた私を見て、真ちゃんは激怒して殴りかかった。

若狭くんに。

軽々と躱されてデコピンされてたけど。
お願いだからもっと強くなってよ、真ちゃん。


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