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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第10章 黒龍の泣き虫くん②《佐野真一郎》




一時間ほど居て帰った3人の言った通り、お昼直前に2人の警察がやって来て。
売店で買った軽食を食べながら話をした。

警察の話によれば、やっぱり店に侵入した2人のうち、真に襲いかかった1人は少年院に送られるらしい。
羽宮一虎クンという、マイキーの友達だそうで。

マイキーの誕生日にバブをプレゼントしたかった…と、そう証言したという。

羽宮クンの証言で、もう1人の侵入者でマイキーの幼なじみである場地圭介…ケイスケは罪が軽く、3ヶ月の精神科医によるメンタルケアと自宅謹慎処分で済むらしい。

不法侵入、窃盗に加え、一歩間違えば殺人になっていた羽宮クンの暴行。
真が生きていることで、まだ罪が軽いというものだ。



後日また伺います、と言って帰った警察と入れ替わりで、泣きそうな顔をしたマイキーと、しゃくりあげながら既に泣いているエマ、それから難しい顔をしているお爺さんがやって来て。

「泣くな!」と笑顔を見せた真を見て、エマと同様マイキーも泣きだしてしまい…
宥めるのに時間がかかった。



「ごめんな万次郎。バブのメンテ、誕生日までに終われそうにないわ」
「グスッ、いい、ッ、真一郎が、生きてるから、いい…っ」
「ぅ゙ええええん真兄ぃぃ゙!!」
「だぁからもう泣きやめってエマ〜!」



















お爺さんとエマが二人でジュースを買いに部屋を出てすぐ、とっくに泣きやんだマイキーが真のベッドに腰かけて寛いでいた。
ワカに手渡された袋に入っていたたい焼きをあげれば、マイキーはそれにかぶりつき…床に付かない足をぶらぶらさせながら黙々と食べている。



「オレの誕生日、エマと蛍さんがケーキ作ってくれるんだって」
「お、いいなぁ手作りケーキ。良かったな万次郎!」
「ウン」



そういえばそんなこと約束した気が…と思い出す。

お昼に帰る予定が、そのまま午後になってしまい…こうなったら面会時間ギリギリまでいてやるか、とあたしもお茶を口にしながら窓際で二人の会話を聞いている。

口元を歪めて嬉しそうなマイキーの頭をぐりぐりと撫でる真に、ほんと仲良いな、と見つめていれば…
髪がボサボサになったマイキーが突然、眉を下げて暗い顔になり、真の顔を窺いながら小さく呟いた。



「…シンイチローも、一緒にケーキ食える?」



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