第8章 飛び級しますッ《場地圭介》
「まあ、ちょっとだけ大胆になってみてもいいんじゃない?」
「え?…大胆、って…例えば?」
「んー例えば……ちゅー、しちゃうとか♡」
「は!?」
「あ、別に唇じゃなくても、ほっぺとかぁ、おでことか?」
「そっそそそんッ…む、無理、心臓壊れるッ」
「可愛い〜ウブ〜!」
ウブって言わないで!!!
いくら毎日好き好き言ってても、それだけはレベルが違うよッ!!?
「気持ちを言葉で伝えるだけじゃなくて…たまには行動に移してみるのもいいかもよ?」
「う…行動かぁ…」
「まあ〜地道にね?いつでも相談してきていいから!応援してるし、ちょくちょく報告よろしく〜!」
「うんっ、ありがとうエマちゃん!」
どういたしまして!と、笑ってくれるエマちゃんに相談して正解だったなぁ。
圭介さんは私より8つも年上だし、友達には聞きにくいこともあるし…
エマちゃんが居てくれて良かった!
ふふ、と笑いあって、もうほとんど眠りかけの赤ちゃんを抱っこし直したエマちゃんが、ふとスマホを手に取り…目を見開いた。
「!あっ、マイキー、そろそろ買い物に行かなきゃだよ!」
「は?もうそんな時間?」
「ちょっと寄り道する程度って言ってたじゃん!今日は家にイザ兄も来るんでしょ?」
「あー、そうそう。エマの飯食いたい〜ってほぼ毎日オレに電話寄越すんだよ、どうにかしてくんねぇ?」
「うぇえ?照れる…いいよ、作りに行く!ケンちゃんに連絡しなきゃ」
結局、羽宮さんを起こしに行くのはやめたらしく…息を切らして疲れている様子の圭介さんの姿が見える。
可哀想…でも息切れしてる圭介さんも可愛い!ちょっとレア!
…ん?私、ハネツキさんじゃなくて…なんて言った?あれぇ?
「わり、帰るわ」
「はぁ…さっさと帰れ…」
「ンだよ弱っちぃな〜場地、歳かぁ?」
「オマエと同じだろーが…」
蛍またな〜、と手を振ってくれるマイキーくんとエマちゃんに手を振り返し、またね!と別れを告げ…車がお店の前から姿を消した。
「……」
「はぁあ、やっと帰った。疲れたワ」
羽宮さんはお店の奥にいるし、松野さんはいないし……圭介さんと、二人きりになった。
だ…
大胆、に…かぁ…
「……け、圭介さん…」
「あ?どしたァ」
「…っ、あ、あの、」
エマちゃん、応援してて…!!