第8章 飛び級しますッ《場地圭介》
お店のドアを全開にして、二人を出迎える。
すると二人同時に目を見開いて驚いた顔をしていて…大人になるにつれ似てきた二人の顔に、クスクスと笑ってしまった。
「え、は?蛍?」
「蛍だぁ〜久しぶり!」
「久しぶり〜!元気だった?…え、わああっ、赤ちゃん生まれたんだ!」
バイトでも店員でもないけどお店の中に招き入れた。
首を傾げるマイキーくんを放ったらかしにして、エマちゃんの腕に抱かれておしゃぶりをしゃぶっている赤ちゃんに「こんにちは〜っ」と笑顔を向ける。
すると、ゆっくりと口角を上げて笑ってくれた。
まだ歯はないみたい。
でもそこがまた愛嬌があっていい!
「うぅ、可愛い〜ッ…エマちゃんに似てるね!」
「そうかなぁ?パパに似てると思うんだけど」
「キラキラしてるおめめとか、エマちゃんにそっくりだよ?」
赤ちゃんのツルスベな頬を撫でながらそう言うと、マイキーくんが赤ちゃんの笑窪をツンツンして「怒った顔はケンチンだけどなー」と小さく吹き出している。
ケンチン…って、エマちゃんの旦那さんの名前だよね、確か。
名前は聞いたことあるけど、会ったことないんだよなぁ…どんな人なんだろ。
「あっもう〜マイキーそれ禁句だってば!ケンちゃんそれ気にしてるんだから!」
「なーんか騒がしいと思ったら。よぉ、久しぶりだなオマエら」
「あー良かった居た、やっほー場地」
「おひさ〜!」
私たちの声を聞きつけて、お店の奥から圭介さんが出てきた。
何やら親しげな様子で、思わず首を傾げる。
え、どんな関係?
マイキーくんと、エマちゃんとも知り合いみたいだけど…?
「えと、皆さん知り合い?」
「いやこっちが聞きてぇんだけど。何で場地の店に蛍がいんの?」
「あ?…何、オマエら蛍のこと知ってんのか」
「待って待って、収拾つかない〜!」
三人で同時に首を傾げたため、エマちゃんの一声でとりあえず情報を提供しあうことにした。
私がマイキーくんとエマちゃんと知り合いなのは、私が小学の6年間、二人のお爺さんがやっている道場の門下生だったから。
小学校を卒業と同時に辞めてしまったけど…通っている間に二人と仲良くなってしまって、未だに連絡を取り合っていて…たまに道場に遊びに行っているのだ。