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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第8章 飛び級しますッ《場地圭介》






「なぁオマエいつまで居んの?」
「門限が7時なのでまだ帰りませんよ。追い出そうとしないでくださいよハネツキさん酷い」
「ハネツキって誰だよ羽宮だオレは。オマエはもう正月気分なのか?」
「圭介さん助けてハネツキさんがいじめる…」
「いや名前覚えてやれよ」



圭介さんが宇宙一美味しい温かいココアを入れてくれて、猫柄のブランケットも貸してくれたから、寒かったのが嘘みたいに今はぽかぽかしている。
温まったら、圭介さんと一緒に待っててくれたらしいミケ(茶、白、黒柄の猫だからミケ)を抱っこして、ケージの中にいる動物たちに餌をあげた。

4日ぶりだねぇ、なんていつもみたいにえへえへ微笑みながらみんなとお話をして、ハネツキさんに苦虫を噛み潰したような目で見られて…解せぬ。

なんで。
動物たちとお話しちゃいけないって言うの?
だって可愛いんだもん、デレデレしちゃうじゃん!



「でも外暗いぞ。早めに帰った方がいいんじゃねぇか?」
「心配してくれるんですか?その優しさほんとうに素敵です、大好き圭介さん♡」
「重症じゃねーか、やべぇな」



いつの間にか過ぎていた時間。
昨日の切なさが嘘みたいに、幸せなひと時…。

圭介さんと二人きり…せめてマツ……マツコさんだけなら介入して来ないし最高なのに、ハネツキさんが結構うるさい。
突っかかってこないでよ…私と場地さんの大切な時間を邪魔しないでほしいのに!!



「ペヤング作ったから、まァ、食ったら帰れよ?今日寒ぃし」
「わーい!圭介さんが作ったペヤング大好きなんです、ありがとうございます♡」
「ただお湯入れただけだろ…オマエどんな思考回路してンの?つーかこの後夕飯だろ、太るぞ女子高生」
「ハネツキさん最低、女の敵」
「羽宮だッつの」



ズズズ…と麺をすすり、半分くらい食べた頃。
圭介さんが「オレも食う」と言って残りの半分を…きゃああ関節キッス!!!!



「えへ…えへへへ…」
「おぇ、胸焼け…」






















「蛍ぅ、これ着てけ」
「え?」
「カーディガン忘れたっつってたろ」



帰り際、圭介さんに差し出されたのは、薄手のジップパーカー。
それを見つめながら、思わず硬直してしまう。


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