第8章 飛び級しますッ《場地圭介》
そして、早いことに2ヶ月がゆうに過ぎた。
早いなぁ、と。
せっかくの夏休みがあっという間で、宿題に追われるし、文化祭の準備もあるしで、思ったより圭介さんに会いに行ける時間は少なかったんだけど…。
でも、行ける日は必ず会いに行った。
開店時間と閉店時間をリサーチして、連絡先も交換して…あって欲しくないけどあるのが普通な定休日にはルナに「圭介さんに会いたい」という思いの丈をぶちまけて。
圭介さんに会いに行くたび、たくさん「好きです」って伝えた。
「サンキュー」って言って笑って見せてくれる八重歯が、可愛くて。
「早く帰れよー、親に心配かけんな」
圭介さん送ってください!!
「寒くなってきたしよォ、そろそろンな短ぇのじゃなくてズボン履けズボン」
え、女子高生の生足、興奮しません??あとズボンって言うのやめてください…せめてジーパン…
「なんか飲むか?ココア好きだったよな」
飲みます!圭介さんが入れてくれるココアが宇宙一好きです!
「猫はこうやって撫でると喜ぶんだぜ、かわいーだろ?」
にゃんこを撫でてる圭介さんの方が可愛いです!
「…オマエどんだけオレのこと好きなん。もうおっさんだぞオレ」
え?おっさんは35歳以上って私の中で決めてるんで。全然ヨユーですよ圭介さんは。
楽しい。楽しい、楽しい!
恋って、こんなにも楽しくて幸せなんだ!
素っ気ない時もあるけど、ちゃんと私の目を見て話をしてくれる圭介さんが好き。
にゃんこにご飯をあげさせてくれたり、お菓子くれたり、ジュース奢ってくれたり、アルバイトですらないのにお店で居眠りしてしまった私に、休憩室で圭介さんが使ってる猫柄のブランケットをかけてくれる…優しい圭介さんが、大好き。
たまに短髪猫目の店員さんが邪魔をしてくるけど…「そろそろ名前言ってやれよ」って圭介さんが笑って言うから、仕方なく、呼ぶ時は苗字で呼んでいる。
何だっけ。えーと。ま、…マツコ?
「文化祭、楽しめよー」
「はい!文化祭終わったらまた来るので!…うぅ、寂しいです圭介さぁん…」
「ふは、3日くらい耐えろよ」
「3日でペヤング何個できると思ってるんですか…」
「…作って待ってっから」
「え…っは、はい、待っててください〜!」
不意に胸きゅんさせてくるとこも、好きが止まりません。