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【東リべ/中・短編集】愛に口付けを

第8章 飛び級しますッ《場地圭介》




ケイスケさんがただお店の中に立っているだけなら、まだ良かった。
だって…だってケイスケさんたら、にゃんこを!真っ白なにゃんこを抱っこしていたんだもの!!!
ケイスケさんの艶やかな黒髪と、一切汚れのない純白のにゃんこ…ああ、絶妙なモノクロ!!!



「素敵…!」
「千冬ぅ、こいつ客か?」
「や、はい、そう思ったんで案内したんですけど…」
「ケイスケさん!」
「うおッ」
「バジケイスケ、ってどういう字を書くんですか?」



短髪猫目の店員さんを押しのけて、ケイスケさんに急接近。
キャッいい匂いする!ペットショップの匂い!!!と満面の笑みを浮かべたら一瞬仰け反られたけど、ケイスケさんは紙とペンを取り出して名前を漢字で書いてくれた。

わああ、字が個性的なんですね!可愛い!!



「圭介さん…なんて素敵な字!『大切なものを守れる強い人に』…『容姿端麗で優しさももつ理想的な人に』…圭介さんの名前を考えた方はご両親ですか?誰にしろ、素晴らしいネーミングセンスをお持ちですね!!」
「へぇ…アンタすげぇな、お袋と同じこと言ってるわ。しかも意味わかんのか、頭いいな」
「そそんな、褒めても愛情くらいしか差し出せないですよぉ…!」



隣でジト目を向けてくる短髪猫目さんには目もくれず、圭介さんに褒められてデレデレしてしまう。
褒め方も上手って、え?圭介さんは天使の卵から生まれた妖精ですか?



「…あ。つか、そろそろ帰れよ。暗くなってきたし、親が心配すんだろ」
「え!?私の心配をしてくれるなんて…優しいんですね圭介さん♡」
「まぁ、夜道は危ねぇからな」
「夜這いッ!??圭介さんなら大歓迎でs」
「アンタッぉ、客さんちょっと一回黙ろうか!?」
「あ、でもほんとに帰らないとまずいかも…門限7時なんですよ私」
「「…あと5分しかねぇけど?」」



走って帰ればなんとか…と顎に手を当てるけど、そんな事いいから!と二人に背中を押される。
あ、圭介さんが私に触ってる!!!と思って興奮しかけたけど、本当にやばいから仕方ない、今日は帰ろう。



「あした!塾の帰りにまた来ますね!私、蕪谷蛍といいます、覚えてくださいね圭介さぁ〜ん!!!」



手を振って、投げキッスも忘れずに♡
ペットショップに寄って良かった!私の新しい日常がスタートするぞ〜!!!

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