第7章 あげるから、もらって《松野千冬》●
あー、早く慣らして挿れたい。
なんて脳裏を過っても、自分のことは二の次。
中心に熱が集まっていくら腰が重くなってきても、オレだけが良くなるのは絶対ダメだ。
蛍が気持ちよくならなきゃ、この行為は全く意味がないのだから。
ゆっくり、まだ柔らかい先端を転がすように揉めば、顔を背けた蛍と唇が離れた。
「ん、どした?」
「わ、かんない…も、もどかしい?とは違うし…擽ったい、ような…変な感じで…」
「…気持ち悪いわけじゃねぇんだろ?」
「うん、それは違う…」
「じゃあそんまま、感じてて」
「え?」
全部委ねろってこと。
ちゅ、と触れるだけのキスをして、目を丸くする蛍の…揉んだせいで固くなった先端を口に含んだ。
大きくビクついた蛍の体が逃げないように、腰に腕を回して密着させて。
空いた方の手は、もう片方の胸の先端を親指の腹で弄りながら緩く揉む。
「え?ゃ、ち、ふゆっ」
先端…乳首を、舌先でざりざりと擦るように舐める。
もう片方の乳首は、今度は親指だけでなく人差し指も使って、痛くない程度につまみながら緩く擦った。
擽ったい、もどかしい、変な感じ。
そう言っていた蛍に快感を植え付けるように、それを繰り返す。
「ぁ…ん、待っ…ゃあ…ッ」
次第に柔らかかった乳首が硬くなってきた頃、オレの頭を拒むように押し始めた蛍。
ぐしゃ、とオレの髪を握って乱し、もう片方の手はオレの肩を押している。
でも、そんな抵抗する手には力が入っていなくて。
声変わってきたな、なんて思いながら、ずっと舌先で舐めて、転がしていた乳首をぢゅ、と吸い上げた。
「ッあ…!?」
「ん、…蛍、今どんな感じ?」
「っ…ん、ぅ…わ、かんな…っ」
「嘘つけ。ほんとはわかってんだろ」
少し顔を離して蛍を見下ろせば、電気をつけていない暗がりでもわかるほど顔が真っ赤になっていて。
目が合った瞬間に逸らされた蛍の顔を覗き込むようにしてキスをすれば、握っていたオレの髪を手放す。
「ちふ、ゆ…」
「ん?」
「こ、怖い…っ、これ、なんなの…?」