第7章 あげるから、もらって《松野千冬》●
「ま、脱がす手間が省けていいかもな?」
「もう…言い方…」
ニヤリと笑えば、頬を膨らませる蛍。
それを指先で突いて、空気が抜ける音を聞いて二人でなんとなく笑い合い……それから、蛍の顎を少しだけ持ち上げて唇を寄せあった。
唇同士がくっつく直前に目を閉じきった蛍を薄目で見つめながら、最初は啄むだけ、けど徐々に唇を舐めあげ、それを合図としてわずかに開いた唇の隙間に、ゆっくりと舌を入れて…
「ん、ッ」
緊張のせいか少しだけ震えている舌に自分のものを絡ませれば、鼻にかかったような声を微かに響かせ、蛍は心地よさそうに眉を寄せる。
舌の裏を抉るようにグリッと舌先でいじったり、舌を緩く吸いながら唇を離したりすれば蛍の腰が跳ねて…オレに気づかれないように膝を擦り合わせていた。
「チュ、は、…蛍」
「んんッ…ぁ、ふ」
キスをしやすいように体を横向きから仰向けに変えてくれたから、顎を持ち上げていた手を蛍の手に少しずつ絡ませ、擽るように、焦らすように触れた。
もう片方の脇腹に置いていた手は、蛍の反応を見ながら上昇させる。
ほんの少し横に広がった胸の輪郭をなぞるように指先を滑らせれば、蛍から小さく声が漏れて…思わず手を止めた。
「…蛍」
「っ…ち、ふゆ…」
「もう止めらんねーけど、…ほんとにいいんだよな?」
「うん…怖い、けど…」
「…オレも怖ぇよ」
ちゃんと優しくすっから、と囁いて額にキスを落とすと、オレにしがみつくようにして抱きついてきた蛍。
胸が焼けるように熱くなって、ドキドキして、蛍が愛しくてたまらない。
なるべく怖がらせないように顔や首、たまに唇に啄むだけのキスを繰り返し、胸の輪郭に触れていた手を先端には当たらないように気をつけて、両胸の間に持っていく。
少しだけ仰け反る蛍の鎖骨に指先で触れながら、ゆっくり、片方の胸の上から手を回すように…胸を包み込んだ。
「っん、ちふゆ、くすぐったい…っ」
「気持ちいいって言って」
「え、…ッ」
蛍はまだ処女だし、快感と擽ったいの区別がつかない。
そこにも愛しさを感じながら、胸を包む手を動かしはじめた。