第1章 revenge1
大切な娘がこんな姿にされたんだ、誰だって誰かに怒りをぶつけたくなるよね・・・。
それに彼らは不良だ。
不良を一括りにして、同じ不良だから、どうしても許せなかったんだ。
でも、東卍はそんな人たちじゃない。
この時代の東卍は、関係ない人たちを傷付けたりしない。
「これから愛美愛主とモメる。オレらの世界はオレらの中だけで片付ける。」
ドラケンさんは静かに話し始めた。
「ウチのメンバーは、みんな家族もいるし、大事な人もいる。一般人に被害出しちゃダメだ、周りの奴泣かしちゃダメだ。」
彼の強さが響いた。
「下げる頭持ってなくてもいい、人を想う心は持て。」
彼の、ドラケンさんのその言葉が、胸の奥にずっしりと響いた。
ドラケンさんはマイキーさんの心。
この2人がモメるなんてありえない。
ドラケンさんは絶対に死なせちゃダメだ。
でも、土壇場で彼を守れるだろうか。
やっぱり、抗争を止めなくちゃいけない。
力で彼を守れない私は、言葉で守らなくちゃ。
「ケンチンは優しいな・・・ごめん、ケンチン。オレ、ケンチンが隣にいてくれてよかった。」
病室を後にして、出口に向かった。
さっき食べたばかりなのに、マイキーさんがお腹空いたらしい。
寝たらお腹空くって、どういうこと?
病院を出ると、銀髪の方が来たので、マイキーさんが彼のバイクの後ろに乗って行ってしまった。
「星那ちゃん、悪かったな。オレらのせいで酷いこと言われちまって・・・。」
「ううん。別に私は何言われてもいいの。でも・・・愛美愛主のせいで貴方たちが悪く言われるのは、我慢出来ない。」
「オレらは同じ不良だ。」
「違う、貴方たちは・・・東卍は違う。あの人たちがそんなの知らないのはわかってる。それでもっ・・・私は、東卍のみんなが大好きだから!」
ありがとなと言って、頭を撫でてくれた。
「オレらの為に泣いてくれた、そんな奴はなかなかいない。マイキーには、オレらにはオマエが必要だ。・・・でも、巻き込みたくはなかった。」
こんなにも優しい彼が、殺される。
過去に来て、本当の東卍に触れて・・・私はもう一度、強く決意した。
大切な人を全員、救ってみせると。