第1章 revenge1
「何しに来たんだ、オマエら!!」
突然、そんな怒号が聞こえてきた。
驚いてそちらの方向を向くと眼鏡を掛けた、中年の男性と女性がいた。
「娘をこんな目に遭わせて、のうのうと顔出しやがって!!帰れ!!帰れ!!クズ共が!!」
「お父さん!!」
この人たち、あの娘のご両親!?
でも、あの娘をあんな風にしたのは、私たちじゃないのに・・・。
ドラケンさんがいきなり、頭を下げた。
「頭なんて下げて済むか虫ケラ!!オマエらゴミのせいで、娘は死ぬところだったんだ!!!」
あの子に何もしてないドラケンさんが頭を下げてるのに、酷過ぎる。
「君もこいつらと同じゴミかっ!!」
私を見て、そうな風に言われる。
私はなんと言われてもいい、でも、大切な人たちをそんな風に言われるのは我慢出来ない。
「なっ・・・。」
「頭なんて下げんなよ、ケンチン、オレら悪くねぇし。ってか何八つ当たりしてんの、このオッサン。」
言い方は悪いけど、マイキーさんの言う通りだ。
彼らは何もしてない。
「帰れ!!虫ケラ!!」
「あ?誰に向かって口利いてんの?」
マイキーさん、年上の人には敬語使おうよ・・・。
すると、ドラケンさんが彼の頭を掴んで下げさせた。
「申し訳ありませんでした。全部オレらの責任です。」
マイキーさんは抵抗するけど、ドラケンさんはそれを許さない。
彼らが頭を下げてる為、私も下げた。
「虫ケラが頭下げて、娘は治るのか!?社会のゴミが!!」
お父様は怒鳴り続け、クズと罵る。
治らなくても、私たちには頭を下げることしか出来ない。
何もしてない私たちが、どうして頭を下げなきゃいけないのか・・・悔しくて、悔しくて涙が止まらない。
愛美愛主が憎い。
反論しようとするマイキーさんを、ドラケンさんが静める。
「あんなに可愛かった娘がこんな変わり果てた姿でっ、帰ってくれ・・・二度と私たちの前に現れないでくれ。」
そう言い残し、2人は涙を流しながら、寄り添い去っていく。
その姿が見えなくなっても私たちは、頭を下げ続けた。