第7章 revenge4.5
目を開けて、ボーッと天井を見つめる。
少し目線をずらせば、輸血用のパックがぶら下がっていて、それとつなぐように、私の腕の針にチューブが垂れ下がっていた。
痛む肩には、軽く締め付けるように包帯が巻かれていて、それを隠すように入院着が着せられている。
ゆっくりとドアが開いて、近付いてきて私の顔を覗くように見たのは・・・愛しい彼だった。
「おはよ、星那。」
耳にストンと心地よく落ちてくる柔らかい声で言った彼は、太陽のように笑った。
肘を付いて起き上がり、口に着けられた酸素マスクを外せば、彼は困ったように笑う。
「まだ起きちゃダメだよ。」
「キスして・・・私をキツく抱き締めて・・・!!」
一瞬目を見開いた彼はすぐに優しく微笑んで、軽くキスをし、右肩に触れないように、キツく抱き締めてくれた。
温かい彼に溶かされるように、今まであったいろんなことが頭に流れ込んできて、涙を溢れさす。
「ごめんなさいっ・・・私、場地さんも、エマちゃんも、イザナも救えなかったっ・・・!!」
誰もいなくなった彼に残ったのは、イザナだけだった・・・。
それさえも、私は救えなかった・・・。
血の繋がりはなくても、真一郎さんはきっと・・・万次郎のように・・・本当の弟のように思っていたはず・・・。
手紙を少し見た時思った、2人は本当の兄弟のようだと・・・。
万次郎はきっと・・・イザナを受け入れるつもりだったんだ。
私の後頭部を撫でるように髪を梳いた彼が、甘く優しく言葉を溢す。
「オレは、オマエしかいらないって言ったよ。」
私を慰めるだけの言葉だって、わかってる。
本心はきっと・・・もっとみんなといたかったんだって・・・。
何が、万次郎を救うだ・・・大切なものは何も、助けられなかったじゃないか。
それでも、稀咲は死んだ。
万次郎を操り苦しめて、ヒナを殺し続けたあいつは、もういない。
そのポッカリ空いた心の穴を、私は埋めれるだろうか。
きっと、埋めることは出来ないけど・・・そんな貴方を支えることぐらいは出来る。
「ずっと・・・ずっと私が、傍にいるからっ・・・だから、大丈夫だからっ・・・!!」
もう貴方を、暗闇には堕ちさせない。