第6章 revenge4
タケミチくんも怒っている、あたりまえだ、そんな理由で何度も愛する人を殺されたんだ。
稀咲が持っている銃を蹴り飛ばして拾い、稀咲に向けて構える。
「死ね・・・稀咲!!」
タケミチくんのトリガーを握る指が震えている。
私は止められない。
殺して欲しいと思う。
殺す覚悟でここまで来たんだから。
「タケミチくん!!!」
ヒナ!?
振り返ると、万次郎もいる。
私たちが目を離した隙に、稀咲が逃げ出した。
「稀咲!!私が殺してやるっ!!」
タケミチくんと2人で追いかける。
今のタケミチくんよりは、私の方が速い。
「稀咲、もう終わりだよ!!」
私たちがそう声をかけるが、逃げながら答えた。
「終わらせねぇよ!!何度だってやり直してやるさ!!橘はいつかオレのものになる、いつか絶対にな!!」
「バッカじゃないの!?ヒナはタケミチくんしか見てないよ!!あんたが何度やり直したって、ヒナは必ずタケミチくんを選ぶ!!私の親友をナメるな!!!でももう、あんたを未来には帰させない!!」
稀咲が道路の真ん中で止まった。
「未来に帰す・・・?だと・・・?オマエら・・・まだオレがタイムリーパーだと思ってんのか?」
え、違うの・・・?
「オレは。」
っ!?
その時、ドンという大きな音が響いた。
稀咲が・・・稀咲が目の前で、トラックに轢かれた・・・。
跳ねられた稀咲は、手足をおかしな方向に曲げながら、悲痛に叫び、動かなくなった。
「ひっ!?・・・やっ、やぁーーーっ!!」
そのあまりの光景に、悲鳴をあげて蹲る。
見たくない・・・。
殺したい程憎んだ男がいざ目の前で死なれると・・・こんな形で死なれると、恐怖を覚える。
なかなか死なない奴も、こうやって簡単に死ぬんだと・・・。
やだやだやだとボソボソと呟き、涙を流す。
「星那・・・。」
万次郎が優しく私の腰に手を回して、寄り添ってくれる。
そうやって関東事変は幕を閉じた。
横浜天竺と東京卍會の約500人によるこの抗争は、逮捕者に天竺幹部5人、死者に3名を出した。
佐野エマ、黒川イザナ、稀咲鉄太・・・3名の命が散っていった。