第6章 revenge4
雨の降る中、ただ空を見つめて、彼を想う。
彼を苦しみから、救わなきゃいけない。
どうすれば、救える?
目を瞑って、顔で雨粒を受け止める。
ふと、顔に雨が当たらないことに気付き、目を開けると、傘が差されていた。
そのままそれを辿っていくと、見慣れた彼がいた。
「っ、ま、じろぉ・・・!!」
そこに彼がいる、彼が生きている。
中学生なんだからあたりまえだけど、嬉しくて・・・涙を溢れ出させた。
「ふっ、どうしたんだよ?」
彼は少し笑って、びしょ濡れの私を抱き締めてくれる。
万次郎、万次郎と何度も彼の名前を呼びながら、しがみつく。
彼はそれに、うん、なーに?と全部に答えて、頭を撫でてくれた。
少し落ち着くと、風邪引くから帰ろと言って、手を引っ張ってくれる。
ここからだと、万次郎の家の方が近いので、そちらに向かう。
万次郎の手が温かくて、また涙が溢れ出てくる。
「ふっ、うっ・・・っ・・・!」
「まだ泣いてんの?」
声をあげて泣きながら、ただ彼が引っ張ってくれる手についていく。
家に着いて脱衣所に行くと、ちょっと待ってろといなくなる。
少しして扉が開いて見ると、エマちゃんだった。
「星那っ!?どうしたの!?・・・これ下着ね、マイキーが貸してやってくれって。」
ブラはサイズが合わない為、乾くまで我慢してねと言われる。
ありがとうと言って受け取ると、今度は万次郎が服を持って入ってきた。
「まんじろぉ・・・うっ、あ・・・。」
「何があったんだよ?」
少し落ち着いたと思ったのに、また涙が出てきて、彼に腕を伸ばして近付くと、抱き締めて頭を撫でてくれる。
彼の温度を感じて、余計涙が止まらない。
エマちゃんが万次郎に何したのよと怒っていて、彼はそれに、なんもしてねぇよとキレ気味に答えた。
ただ彼に抱き着いて、大好き、愛してると呟き続ける。
エマちゃんが出て行って、泣きながら服を脱がせられて、浴室に入る。
彼が私にシャワーをかけてくれて、温めてくれた。
後ろを振り向いて彼に抱き着き、ただ彼の体温を感じていると、あのことを忘れられる気がした。