第5章 revenge3.5
「お母さーん!着物、着付けてっ!!」
今日は大晦日だ。
万次郎には昨日、帰ってもらった。
もう普通に歩けるし、そんな何日も家空けたら、エマちゃん、きっと寂しがるもん。
それに万次郎にとっても、エマちゃんは大切な存在だと思うんだよね。
いくら妹の誕生日でも、この年頃にデートなんて行かないと思うし、楽しそうだった。
「よし、いいわよ!」
ありがとうとお礼を言って、荷物を持った。
こんな冬に、汗かかせないでよと言う母に謝って、玄関の扉を開ける。
「万次郎!?・・・エマちゃん、ドラケンさん!!」
迎えに来てくれたんだ。
駆け寄って、万次郎の腕を掴む。
「あんま走んな。怪我、まだ全然治ってねぇんだから。」
ちゃんと掴まってろよと言う彼を、過保護だなぁと思いながら、神社に向かって歩き出す。
「万次郎、和服もかっこいいね。」
「そうか?星那も、すげぇ可愛いよ。」
ほんの少し上にある彼の顔を見て笑うと、彼もニコッと笑う。
エマちゃんとドラケンさんには、呆れた目で見られたが・・・。
このくらい、普通じゃないの!?
神社に着き中を歩いていると、彼が何かに気付き屈もうとしたので手を離すと、何かを広い上げた。
「絵馬?」
そう聞くと、近くにいたエマちゃんが反応してしまった為、慌ててなんでもないと言い謝ると、またドラケンさんの方を向いた。
彼の手にある絵馬を確認してみると、願い事が書かれていた。
みんなを救えるヒーローになれますように。
しっかりと花垣武道という名前も書かれている。
タケミチくん・・・君はもうヒーローだよ。
ん?ここにタケミチくんの絵馬があるってことは、ヒナと一緒にここに来てるってこと?
「待ってーオレの絵馬あああ!!!」
タケミチくんの声だ。
またエマちゃんが反応した、しかもちょっと怒ってる。
万次郎がこれのこと?と言って、先程拾った絵馬を見せる。
渡そうと手を差し出したが、タケミチくんが受け取る前に歓声があがったので、動きが止まり周りを見る。
どうやら、年が開けるようだ。
いつの間にか、他のみんなもいる。
万次郎がみんなに、飛ぶぞと言う。
「3!!2!!1!!ハッピーニューイヤー!!!!」
万次郎の手から、絵馬が飛んでいった。