第1章 revenge1
風が気持ちいい。
「ちょっ星那っ!!」
「っ!?」
目の前にマイキーさんがいて、彼の腰に回した私の腕を掴まれた。
「危ねぇからちゃんと掴まってろ!」
「はひっ・・・!!」
過去に戻った私は、マイキーさんのバイクの後ろに乗っていた。
てゆうかもう、近すぎるっ!
めっちゃ密着してるっ!
ドキドキが止まらない。
彼の背中にくっついた胸から、心臓の音が彼に響いてしまいそう。
「星那のおっぱい、柔らかい。」
「なっ!そんなこと今言わないでくださいっ!!」
彼が変なことを言うから、離れてしまいそうになった。
離れたら、死ぬ・・・っ!
「どこ行くんですか?」
「えーさっきも言ったじゃん、聞いてなかったの?」
そんなこと言われても、今の私はついさっき来たばっかりだから全然わからない。
「ねぇねぇ、星那ってオレに会ったことない?」
「え?今、会ってますよね?」
どういうことだろうか。
今、会っているし、前にも1回会っている。
「そうじゃなくて、ガキん時!」
もしかして、覚えてるの?
たった1回だけ会ったことを。
貴方が私を助けてくれた、あの日のことを。
「ちょうど今のオレたちくらいの歳の不良たちに、ガキが楯突いて殴られてて、オレと兄貴で不良たちをボコったやつ!あのガキ、オマエだよな?」
どうしよう、嬉し過ぎて泣いちゃいそう・・・。
覚えててくれた。
ゴミをポイ捨てした中学生を注意したら、殴られて蹴られて・・・怖くて何も出来ずに泣いていた私を、通りすがりの人たちは見て見ぬフリだった。
だけど、マイキーさんとお兄さんだけは私を助けてくれた。
泣き止むまでずっと一緒にいてくれた。
あの日私は、マイキーさんを好きになったんだ。
「マイキーさん、私、貴方が好きです。」
「え?なんも聞こえんかった。もっかい言って!」
「なんでもないです!」
気付かずに口に出してしまっていたけど、幸いにもその声は彼の耳に届いておらず、安心した。
「そういえばさ、前に敬語なしって言ったよな?」
「あ、すみません!」
「それも敬語だわ!」
あ・・・。
2人の笑い声が夜の街に響いた。