オマエしか要らないから【東リベ/オメガバース/R18】
第1章 オマエしか見てないから
名前を教室から拉致った後忘れ去られていた武道をドラケンは屋上に呼び出す事にした。
マイキーのボヤきにドラケンの悪戯心を加え
武道へのメールを作成し送信した。
一方武道は再開された授業を不良らしからずしっかりと真面目に最後まで受け久々の学業に謎の達成感を感じ、満足気に滴る汗を拭い、一息ついていた。
ふと右ポケットの中の携帯が震えた。
メール受信の通知だった。
「あ、ドラケンくんからだ。」
何やら屋上で待ってくれているらしい。
一マイキーがタケミっちに用があるってよ一
一あ、でもオマエの行動次第では
殺すって言ってたぞ一
「え」
(オレ、殺されんのぉぉお!!?)
驚愕的な内容のメールを読んだきり戸惑いを隠せず声に鳴らない謎の唸り声をあげ、暫し百面相を繰り広げていた武道だったが数分後には、己の覚悟を決め屋上へと向かった。
段差を飛ばし、階段を勢いよく駆け上ると心臓がバクバクと脈打った。
武道は恐る恐る扉を開け、屋上へと進んだ。
昼下がりの屋上はやけに西日が眩しく蒸しかえるような地熱に覆われ視界が歪む。
自ずと日陰を求め進んだ先にマイキーくんと、ドラケンくんそして苗字さんが居た。
マイキーがいち早く気付き武道を見上げた。
「タケミっち」
「はい?」
「1発殴るわ」
「……はい…ってえええっ!?」
さも普通の事のようにマイキーが発言した為、条件反射で肯定してしまったが内容の理不尽さに驚きを隠せない。
武道の目前には殺気とは無縁と思える程、満面の笑みのマイキー。結びつかないちぐはぐな状況が更に恐怖心を煽り武道は反射的にドラケンにフォローを求めた。
「オレ、何もしてないっスよねェ!?」
「あ?」
気だるげなドラケンが答える間も与えずマイキーは武道を殴った。
「うん、何もしてねーから殴った」
人ってあんなに簡単に宙を舞えるのかと冷静に考えてしまうほど、目の前でタケミっちという人が勢い良く飛びドサッと倒れた。
「マイキーくん、いきなり酷ェっスよ…」
地面を這い、痛てて…と武道が恨めしそうに不満の声をあげる。
「オマエさ。オレのダチ泣かせてんじゃねーよ。」
「はえ?」
要領を得ない様子の武道にドラケンが溜息混じりに「名前の事だ」と補足した。