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オマエしか要らないから【東リベ/オメガバース/R18】

第3章 オマエしか起こせないから


おはようって言ってる場合じゃないよと軽くツッコミながらタケミチくんをその場から連れ出し、教室まで一緒に向かう。

「これ、剥がすね?」
と背中に貼られた紙を剥がそうと手を伸ばした時
タケミチくんが振り返った。

「良かった、苗字さんが来てくれて」
「え···?」
「オレ、マイキーくん達みたいに格好良く助けらんねェし色々考えたけど馬鹿だからどうしていいかわかんなくて」

ヘラヘラと笑って「こんな風になった、ごめん」と呟くタケミチくん。彼はΩである事をひた隠しにしてたと昨日の会話の中で話してくれた。

「ずっと隠してたって昨日言ってたのに···」
どうして急に、と追求する間もなく

「これでもう、苗字さん独りじゃないよ」

と穏やかな表情の彼に言われ暖かい言葉にぶわっと涙が溢れる。

(ずっと行きたくなかった、ずっと不安だった。)

「タケミチくん···」
「うん。」
「···ありがっ···と···っ」
「···うん。」

溢れてきた名前の涙は止まらず、武道が背中を摩り慰め、2人は暫く廊下に立ち尽くしていた。

「あっくーん!武道が女子泣かしてるぜー!」

教室の窓から野次が飛んできている。

「アッッッ!武道なにしてんだテメー!」
「武道が女の子泣かしてる〜」
「女子と絡めて羨し···調子乗んなよ武道コノヤロー!」

メガネをかけた男子がリーゼントの男子に話しかけ
あっという間に男子4人に囲まれた。

「オマエら···いやこれは違うんだって」
どうやらタケミチくんのお友達のようだった。

「つか武道オマエ、Ωってマジ?」
メガネを掛けた男子が問いかけた瞬間
辺りが沈黙に包まれた。

「···あぁ、マジ。」

「「エッッッッ!」」

ぽりぽりと頬を掻きながら武道が答えると
4人の内2人は驚き、もう2人は神妙な面持ちになった。

「キャー!武道くんのエッチ!」
「うるせぇ山岸!」
「オレはオマエとは番わねーぞっ!」
「マコト!オレもお前とは番たくない!つかオマエらαじゃねーだろ」

山岸くんとマコトさんは両手で自分を抱きクネクネと茶化している。
2人ともΩの事をあまり気にしてないみたいだ。

「オマエいつからΩなんだ?この前はβって···」
「タクヤごめん。オレ2回ともΩって検査結果でてたんだ」
タクヤと呼ばれた人は俯き呆然としていた。
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