オマエしか要らないから【東リベ/オメガバース/R18】
第1章 オマエしか見てないから
「・・・が・・・けて、ごめなんさいね。
あり・・・う・・・くん」
遠くで母の声がきこえた気がした
あれ、私どうやって帰ったんだっけ・・・?
体があつくて、あつくてつらい、よ・・・。
私のヒートは計一週間続いた。
地獄の1週間が終わった頃、ようやく登校できた。
転入初日の午後からヒートが始まりその後1週間休み続けていた名前のΩ性を疑う噂は立ち待ち校内に広がった。
居場所はもう学校のどこにも無かった。
「ねぇ、あの子Ωらしいよ」
「ヒートもう来たって・・・何か早くない?」
クスクスと笑われる。内気な担任教師は止めずついには授業中にもヒソヒソと名前を噂する声や嘲笑う声が続いていた。
俯き耐え続ける名前の瞳には大粒の涙が溜まり今にも溢れんばかりだった。
「お、いたいた」
「遊ぼうよ、タケミっち」
突如教室の扉が開き、ひょっこりと2人の男子が顔を覗かせた後中学生とは思えない体格、しかも顬には刺青が入った男子と小柄で金髪の男子が笑顔で教室に入ってきた。
教師は呆気に取られ言葉を失っている。
教室中がざわつき始めた
「あれ、無敵のマイキーじゃね?」
「隣に居るのってドラケン?初めて見た」
「そいやマイキーってαらしいよ」
「え?花垣ってあのマイキーと仲良いの?」
「バッカ!お前ら声がデケェッて!」
皆思い思い好き勝手言い放つ。
「おい、オマエ。」
ふと誰かに語りかけるマイキー。
(これ以上注目、されたくない)
(どうか、このまま通り過ぎて・・・お願い・・・)
名前は俯いたまま顔あげるのが怖くなり、目立つまいと涙を見られまいとさらに深く俯く。
名前の願いも虚しく
無敵のマイキー、そう呼ばれた人は
名前の席の前に立っていた。