オマエしか要らないから【東リベ/オメガバース/R18】
第1章 オマエしか見てないから
「〜♪」
お目当ての品を手に入れた三ツ谷は鼻歌混じりでコンビニを出た。
自宅への近道になる-いつもの公園-を突っ切ろうとしていた。
ふと視界の端にベンチ付近で倒れている女が映った。
どうやら同じ制服を着ているようだが
何やらぐったりとしており、動けなさそうだった。
(同中か?・・・ったく、こんな時間に危ねぇな・・・)
宛ら父親のような心境を抱いた三ツ谷は彼女に話し掛けるべくベンチへ近寄った。
近づくにつれ、彼女からは猛烈に甘い匂いがし
生まれて初めて自分の中のαの血が騒ぐのを感じた。
(んだコレ・・・おい、まさかコイツ・・・Ω?)
発情期・・・-ヒート-を迎えたであろう小さな彼女は
ほんのりと頬を染め蕩けた表情で時折苦しそうに顔をしかめ、必死に呼吸をしていた。彼女から漂うフェロモンは三ツ谷を執拗に誘惑し、恐ろしく艶やかに映った。
-ヤッちまえはいいじゃん-
己の中のドス黒い欲が笑い三ツ谷を駆立て
名前も知らないコイツを求めて血が叫んでいた。
「・・・るせぇんだよ。」
己の欲に毒づいて唇を強く咬んだ。
目の前の彼女を救うべく、そっと体を抱き上げ自宅に運んだ。
今にも飛びそうな理性に気合いを入れ直すべく顔を洗おうと鏡を見やると三ツ谷の唇元には血が伝っていた。
・・・さてどうしたものか。
幸い、まだ幼いルナやマナにはフェロモンの影響は無いようだ。
公園は危険だと判断し、家に連れ帰ったはいいがその先は完全にノープランだ。
三ツ谷は洗面所でぼんやりと考えた。
彼女と同じ空間に妹たちも居る。だが正直彼女から離れていないと理性を保ち続ける自信がない。
(クソッどうしたら・・・)
頭を抱えた三ツ谷は携帯の電話帳を漁り-松野千冬-と表示された番号に電話をかけた。
「急にどしたんスか?」
「おぉ、千冬。悪ぃけどちと手伝ってくれや」
詳細を話した数分後、三ツ谷家のチャイムが鳴り
千冬がバイクで慌てた様子で駆けつけたのだった。