第14章 【第十三訓】ベルトコンベアに挟まれた工場長の話
四人が四人とも、真剣な表情で臨んでいた。
険しい雰囲気。張り詰めた空気。
間隔三十センチの所で頭を突き合わせ、他の三人に目配せをする。
「いいか、いくぞ。大切なのはリズムだ。テンポだ。タイミングだ。お題は頭の中にあるな」
いつもの死んだ魚の目ではなく、生き生きとした瞳で銀時が音頭をとる。
「せーの! ジャンケン、ポン! あいこでポン!」
二回の戦いの末、銀時がパー、○○と神楽と新八がグーで、雌雄は決せられた。
銀時は音頭の勢いのまま、考えていたお題を声高に叫んだ。
「夏といえばー!」
銀時は右隣の○○に目を向ける。
「夏といえばー、怪談! 怪談といえばー!」
今度はそのまた右隣の新八に、○○の目が向けられる。
「怪談といえばー、んー、幽霊! 幽霊といえばー!」
そのまたまた右隣のチャイナ娘へと、メガネ越しの視線が注がれる。
「幽霊なんてオウマイガー!」
「いや、それ、お祓いしてるんだよね、オウマイガー! じゃなくて」
両拳を縦に揃えて、左右に振る仕草を神楽は披露した。
神主が大幣を振っている様子が頭の中でイメージされているのだろう。
「てめー、神楽! 真面目に答えろ!」
せっかくの上々だった流れを無に帰した神楽を銀時は咎める。
だが、○○は閃いた。
「いや、それでいこう! いけるよ、それ!」
先程からもう十回もこの流れが続いていた。
依頼がなく、飢えていた万事屋一同は依頼を得られる案を考えていた。
初めはただみんなで案を出し合い、それが連想のようになり、ついには本当に連想ゲームになった。
いつの間にかリズムが狂ったらやり直し、というルールまで付け加えられて。
「それでいけるって、どういうことだ?」
「これだよ!」
○○は神楽の真似をして、眼前でゲンコツを上下に重ね、左右に振ってみせた。
「これでガッポリ、丸儲けだよ!」