• テキストサイズ

~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第10章 【第九訓】どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ話


「お支払いはこちらへお願いいたします」

 ○○は一枚の紙を公子に差し出す。
 そこには万事屋名義の大江戸銀行の口座と、振り込むべき金額が書かれている。

「マジありえないんですけど。太助助けてくれって言ったのに、何でこんなことになるわけ~?」

 銀時と○○の木刀を食らった太助は、未だに気を失っている。
 敵が転生郷に気を取られている間に逃げ出すことに成功したが、太助はこの有様。

「二週間以内に振り込まれていなかった場合、貴女の自宅に手榴弾が投げ込まれることでしょう」
「マジありえねー」

 公子は渋々と紙を受け取った。

「ありえねーのはお前だろ」

 銀時は公子の背中を示す。
 そこには気を失った太助が背負われている。
 銀時は自分を捨てた男を背負っている公子に難色の目を向ける。
 こんな奴に付き合えるのは私くらいしかいないと、公子は太助を背負ったまま去って行った。

「なんだかんだで、いい子だったね、ハム子ちゃん」
「そうですね」

 ○○と新八は並んで公子の背中を見送る。

「お金も手に入るし。一度の依頼で、こんなにもらえるものなの?」
「いやァ、今回は特別ですよ」

 普段は小さな仕事ばかり。金額もそれ相応のもの。
 公子のように、金に糸目をつけずに仕事を頼んでくる依頼人はそういない。

「こんな依頼ばっかりだったら、そりゃ金欠にはならないか」

 ○○は木刀に手を当てる。
 銀時が使い古した『洞爺湖』の木刀。
 今は○○が神楽とのチャンバラごっこで愛用している。

 銀時は○○に目を向ける。腰に差さった木刀。
 そんなものを持って来ても、役に立たないと思っていた。
 銀時の脳裏には、茶屋の前で一所懸命素振りをしていた、小さい頃の○○の姿が思い浮かぶ。
/ 502ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp