第11章 【第十訓】怪盗ふんどし仮面の話
○○は恒道館の前に立つ。
バイトから帰ると銀時と神楽の姿はなく、
――至急 恒道館に来られたし
という神楽の手による置き手紙があった。
恒道館とは、新八と、新八の姉、妙が営んでいる剣術道場。
もうじき日が沈む時刻だったが、無視するのも忍びない。
日が落ちる前に○○は急いでやって来た。
「新八くん! 銀さん! 神楽ちゃーん!」
門は閉ざされていた。
閂がかかっているのか、押しても引いても動かない。
「新八くん! 銀さん! 神楽ちゃーん?」
反応がない。
門には『恒道館道場』の看板が掲げられている。
場所は間違えていないはず。
○○は塀に沿って歩いた。反対側に裏門があるかもしれない。
角を曲がると、またしても続く白い塀。
再び角を曲がった所で、言い争うような声が聞こえた。
「………ス!」
「……パフェ……!」
「………ダッツ!」
「………!」
他はわからないが「パフェ!」の声は銀時だった気がする。
「銀さ――」
門を開けてもらおうと銀時を呼んだ声は、爆音にかき消された。
塀の向こうから砂埃が舞い上がる。
一瞬呆気に取られたが、気を取り直して再び声をかけた。