第61章 【第六十訓】イボは自分でとっちゃダメな話
ここまでのあらすじ――
図らずも、一週間の夏休みとなった万事屋。
休み明けに出社した新八は、別人のように変貌した銀時、美しく成長した神楽に会う。
家に帰れば、ゴリラの妻となった姉がお腹に子を宿していた。
彼等は一様に、精神と時の部屋よろしく一週間で二年の時を刻んでいた。
近藤の紹介により、新八は真選組の一員となっていた。
初出勤日の今日、途方に暮れる新八の前に現れたのは、鬼の副長・ジミー山崎と、仏のパシリ・土方十四郎。
彼等と向かった屯所で新八が見たものは、局長の存在を超越し、皇帝となっていた沖田総悟。
そして、その傍らには――
「久しぶり、新八君」
皇后、○○。
「また一緒に働けて嬉しいよ」
「な、なんで○○さんが……!!」
新八は戸惑う。
我が姉とゴリラの結婚は衝撃が勝って驚きどころではなかったが、この件はただただ驚いている。
「え、え、結婚したんですか!? 沖田さんと!?」
「結婚はしてないよ。みんなが勝手に姐御扱いしてるだけ」
かつての真選組では女中のような立場だった○○だが、今では実質ナンバー2。
沖田が局長となり、○○も戦いの最前線へ赴くようになった。
近藤が去り、土方の地位が低下した今では、○○の行いを止められる者は誰もない。
○○の力量を目の当たりにした隊士達も、女性が上位にいることに異を唱えることはなかった。
それが局長、いや、皇帝沖田の恋人となれば尚更だ。
「付き合ってはいるってことですよね!?」
「もちろん」
○○は顔を綻ばせて答える。
さも沖田の恋人であることが幸せだと言わんばかりの、その表情。