第57章 【第五十六訓】漫画キャラにとって読者は神様です
「首位独占なんて企ててたなら、教えてくれればいいのに」
階段を下りながら、○○は銀時に不満を垂れる。
○○の知らぬ間に始まっていた内乱。
それは首謀者である山崎、そして新八が屋上から落とされるという結末で終止符を打った。
「○○に順位は関係ねーだろ。それに、前みたいに裏切られる可能性もあるしな」
「まだあのこと根に持ってんの? 別に裏切ってないし」
少し前に寺門通公式ファンクラブを決める決定戦があり、トッシー率いる通選組と新八率いる親衛隊で争ったことがあった。
銀時は当然のように○○をメンバーに加えていたが、○○は辞退した。
その件について、銀時はしばらくネチネチと小言を言い続けていた。
「あれはトッシーを成仏させるためだから、今回とは話が違うし」
トッシーの存在を知る数少ない人物、そしてトッシーを成仏させたいと思っているだろうと、近藤は○○を通選組に勧誘した。○○はその誘いも断った。
どちらにも属さない。それが、○○の出した結論だった。
「ヅラ抹殺して、トシと総悟蹴落とせば、定春も一桁になったし」
万事屋のメンバーが上位を独占すれば、日常が平穏だ。
桁が小さいこと、目が回らないこと、数字酔いしないこと、新八が八なこと。
それが一番大事。
「あ、新八君は繰り上がって八じゃなくなっちゃうのか。ま、いっか」
一番大事なことはあっさりと切り捨てられた。
「銀さん」
振り向くと、○○が人差し指を向けていた。
「人を指差すんじゃありません」
その意味は銀時に通じなかった。
人差し指は数字の1。投票結果は見えなくなってしまったけれど、坂田銀時がナンバー1。