第56章 【第五十五訓】吉原炎上篇は諦めて回想にした話
――巨乳になりたい……!!
○○は拳を握る。
そんな○○を、新八は白けた目で見やる。
「のっけから何言ってンですか、○○さん」
顔を向けると、メガネの奥には自身に対する蔑みが見えた。
「常識人の僕等が恥も外聞もないこと口走ったら、この作品、瓦解しますよ」
しばし新八と見合った後、○○は口を開く。
「いやいやいや、口走ってないから!」
○○は声を上げる。
「新八君こそ、非常識! 人の頭の中、読まないで!!」
――強く、なりたいんです
銀時に訴えかける、新八と神楽。
○○はソファに座り、二人を見つめていた。
吉原での戦いの末、己が弱さを身に染みた。
銀時に教えを請いたいと、彼等は願い出た。
強くなりたい。その思いは○○も同じ。
足手まといにしかなれない自分。
傷だらけの銀時を前に、一歩も動くことが出来なかった自分。
○○は神楽の横顔を見つめた。
白い肌に青い瞳。華奢な体型。鮮やかな髪色。
神楽はあの男によく似ている。
彼女の実兄、神威という男。