第53章 【第五十二訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ三
「ギャルハンターなめんなァ!」
同じくたどり着いた○○も、彼等に続いて宇宙船へと乗り込んだ。
「○○さん!」
「○○!」
二人は足でゲーマー星人を組み敷いていた。
ゲーム内で土方、沖田が扮していた格好にそっくりの二人組。
「船を止めろ」
振り返ると、銀時が立っていた。
その瞳には銀色の光が宿っていた。彼の瞳は生き返っていた。
「止められるものなら止めてみろ」
土方ではない本物の“先輩”は言う。この船は特殊なドライバーでしか止められない。
○○は唇を噛む。またしても、マイナスドライバーでは力不足。
「どこで使えばいいのかと思ったら」
ゲーマー星人の“先輩”同様、○○も目を剥く。
「まさか……」
銀時が持つ一本こそが、起死回生の特殊ドライバーだった。
「なん……だと……!」
銀時とゲーマー星人、どちらの仲間なのかわからない台詞を○○は呟く。
銀時は股間のボックスドライバーで宇宙船を破壊した。
「ありえない。銀さんのなんて使い道のないただのスティックのはずなのに」
マイナスドライバー以上に用途不明の代物のはずだ。
「普段はプラスとマイナスの陰に隠れてても、いざという時はキラめくんだよ」
俺と同じだと、銀時は勝ち誇った顔を○○に向ける。
「オメェは何だ? 知名度だけは一丁前のくせに、どこに使い道があんだ? あ?」
○○のこめかみからブチッという音が鳴る。
うがああ! と○○は銀時の股間に蹴りを食らわせる。
「テメ! 八つ当たりしてんじゃねェ!!」
「そのスティック、八つに割いてやる!!」
「八つに割かれたらお前……八人同時に相手出来んじゃねーか」
「ああ゛!? そんな細いスティックじゃナニも出来ないわ!!」
「安心しろ。お前は入れてやんねーから」
「こっちから願い下げだコノヤロー!!」
銀時と○○はいがみ合う。
「……こっちはゲームオーバーかも」
新八は苦笑を浮かべる。