第52章 【第五十一訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ二
「えーっと……どっちだろう」
“モンキーハンター”のゲーム内で○○は迷う。
集会所前で待ち合わせと決めて別れたが、集会所が見つからない。
自分達をドライバーへと改造した天人――ゲーマー星人を捜すため、○○達は各々ゲームを開始した。
店が混んでいたため四人は離れた席でゲームをプレイすることになったが、○○は勝手がわからずに苦戦していた。
機械自体に触り慣れていないため、ゲームを始めるまでにも手間取ってしまった。
新八達はとっくに合流しているのではないだろうか。
「集会所はどちらですか、と」
○○は道行くハンターに道を聞くため、文章を入力した。
〈すいません、集会所はどちらですか〉
〈集会所はこの先です〉
ゲーム内のハンターが○○の向かう先を示した。
〈ありがとうございます〉
〈どういたしまして〉
見た目はゴツいハンターだが、口調は丁寧だ。
道を真っ直ぐ行くと集会所という文字が出て来た。
ここで新八や銀時、神楽と落ち合わねばならないが、何せゲーム内だ。各々の風貌も現実とは違うだろう。
「そもそも、ちゃんと待ってくれてんのかな」
新八や神楽はともかく、銀時ならばなかなか姿を見せない○○を置き去りに先に進んでしまうのではないか。
銀時の勝手な行動を新八が止められるとも思えない。
「人を捜してそうな人、もしくは三人組……」
目に入るハンターは大概一人だ。
彼等が既に落ち合いパーティを組んでいるならば、それだけで目立つ。
「あ、あれかな」
集会所の前で三人が向き合って話している。
一人は女子ハンター、一人はゴツいハンターだが、もう一人は新八によく似た風貌をしていた。
「ハンターっていうより、村の青年Aっていう感じだなァ」
○○は三人組へと歩を近づけるが、○○より先に彼等にたどり着いた人達がいた。
剣を持ったその二人組は豚の顔をしている。
三人組のうち、女子とゴツいハンターが豚にボディブローを食らわせた。
○○は眉をひそめる。こんな街中でバトルが起こるゲームではないはず。
三人に向かってさらなる豚の軍団が押しよせ、三人組は逃げて行った。
一瞬逡巡したが、○○はその後を追った。