第48章 【第四十七訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ一
「暑いィィィ」
頭上から燦々と太陽が照りつけている。
○○は左手を額にかざして空を見上げる。
右手には双眼鏡。
沿岸警備の仕事を依頼され、万事屋一行は人々でごった返すビーチへとやって来た。
○○は腰に下げた水筒を手にとり、蓋を開けた。
「そうだ、カラだった!」
逆さまにするも、一滴の水分も出て来ない。
「ううー、干乾びる」
水分も取らずに直射日光をあび続けていたら、熱中症になること必至。
海の中でキャイキャイと遊ぶ若人達を羨ましく思いながら、○○は水分補給のために警備本部のテントへと戻った。
テントの下では、銀時と新八が並んで座り、揃って海の方へと双眼鏡を向けていた。
「また二人ともテントの下で……」
本部から見える範囲など高が知れている。
炎天下に出ることを拒み、彼等は日陰から出ることなく職務を全うしているつもりでいる。
きちんと見廻りをしているのは、○○と神楽のおなごコンビばかり。
「ん?」
テントに近づいた○○は、銀時の様子に気づいた。
「銀さん」
「おわ!」
双眼鏡越しに見えた○○のドアップに、銀時は声を上げる。
「何見てんの」
眉間に皺を寄せ、○○は仁王立ちで銀時を見下ろす。
「何って、俺達は海の安全を守りに来てんだぜ。見てるもんは決まってんだろ」
気分を悪くしている人間はいないか、溺れている人間はいないか、女性の水着姿を盗撮しているような不審人物はいないか。
それらを見守り、注意、警戒することが万事屋の任務。
だが、銀時が見ていたのがそんなものではないと、○○は気づいている。