第47章 【第四十六訓】真選組動乱篇 其ノ三
ヘリコプターは銀時の手で万斉もろとも撃墜させられた。
「何をしている」
伊東は土方に指示を仰いだ。
銃弾をあび、彼は瀕死の重傷を負っている。
「総員に告ぐぅ!! 敵の大将は討ち取った!!」
土方は声を上げた。
言葉に呼応するように隊士達の士気が高まる。
「一気にたたみかけろォ!!」
○○は刀を握りしめた。
近藤、土方、沖田と共に、真選組監察として、山崎の同僚として、友の仇を討ち取る。
「引けェェェ!!」
もはやこれまで。
負けを悟った攘夷浪士達は撤退を始めた。
「逃がすなァ!!」
攘夷浪士達の背中を隊士は追いかける。
一兵卒に至るまで逃がしはしない。
「銀さん」
列車に戻ると、入り口に銀時が立っていた。
「ケガはねーか、○○」
○○が頷くと同時に、中から新八の声が聞こえた。
「助けてもらったんです」
伊東を連れて行かないよう、新八は隊士達に頼んでいた。
新八は伊東に助けられた。
裏切り者として処断することは見逃してもらいたい。
助けられたのは新八だけではない。
「近藤さん」
○○の横を通り列車内へと足を踏み入れた近藤は、新八を押さえて隊士に命令した。
「連れていけ」
伊東は身を挺して自分達を護ってくれた。
新八、神楽、○○を。そして、土方、沖田、近藤を。
隊士二人に両側を支えられ、伊東は車外へと連れ出された。
切断された腕から大量の血を噴き出しながら、○○の横を通って行く。
隊服の至る所に銃創が見える。○○達をかばって負った傷。
「ほっといたって奴ァ、もう死ぬ」
だからこそ斬らなければならないと、銀時は新八に言い聞かせる。
仲間として死なせるために。
「立て、伊東」
土方と伊東が対峙する。土方の一刀は伊東の体を斬り裂いた。
仲間に囲まれ、伊東は事切れた。
○○は空を見上げた。
伊東派についた隊士の中には、○○が屯所にいた頃に竹刀を交えたことがあった者もいた。
伊東の反乱は多くの犠牲者を出した。
「山崎……」
失ったものは、あまりにも大きい。