第46章 【第四十五訓】真選組動乱篇 其ノ二
五人は前方の車両へと駆けつけた。先頭と二両目は宙吊りになっていた。
駆け込むと同時に、上空のヘリに乗る男が一点を目掛けて銃弾を撃ち込み始めた。
銃弾は宙吊りになった先頭車両のみを狙っている。
三両目から真下に見える先頭車両を覗き込むと、伊東が列車と共に宙吊りになっていた。
隊服が木片に引っかかり、辛うじて体を支えている状態だ。
「近藤さん!」
近藤は危険を顧みずに飛び込んだ。
銃弾が木片を粉砕し、伊東の体が落下する。
「総悟!」
近藤の後を追うように沖田も先頭車両に向けて飛び下り、新八を道連れにしながら神楽も飛び降りた。
近藤が伊東の手を掴む。近藤の足を沖田が掴み、その足を新八が掴み、その足を神楽が掴んで落下を免れる。
○○は目を配った。
土方の姿がない。
ヘリからの攻撃は止まなかった。
伊東を狙う銃弾はその手を掴む近藤の体をもかすめる。
攻撃を止めなければ伊東のみならず、近藤の命も危ない。
○○は割れた窓から身を乗り出した。
同時に思わぬ姿を目撃する。土方は列車の上に乗っていた。
「トシ!」
土方はヘリコプターに飛び移ると、プロペラを両断し撃墜させた。
伊東を救出し、五人は先頭車両、二両目と這い上がって来る。
○○は神楽に手を伸ばす。
同時に、背後から複数の足音が轟いた。
振り返ると、刀を持った男達が駆け寄って来る姿が目に入った。
次から次へと襲い来る攘夷浪士。○○、土方、近藤、神楽は応戦する。
○○がヘリの音に気がつき窓の外へと目を向けた時、既に銃口が向けられていた。
「伏せろォォ!!」
○○と同時に気づいた土方は声を上げた。
銃撃が止み、顔を上げた○○の目に映ったのは隊服を着た男の背中だった。
「先生ェェェェェェ!!」
「伊東ォォォォォ!!」
身を挺し、伊東が銃弾を防いでいた。