第46章 【第四十五訓】真選組動乱篇 其ノ二
銀時は手を差し伸べ、近藤をパトカーへと誘った。
「近藤さん!」
窓から身を乗り出し、○○は近藤に声をかける。
「すまねーな、○○。心配かけて」
近藤は小さく微笑んだ。○○は首を振る。
背後から爆音が聞こえ振り返ると、一台のバイクがスピードを上げて猛然と迫って来ていた。
○○は車内へと体を引っ込めた。
バイクを運転するのは鬼兵隊の河上万斉。
後部座席に跨っている男が、反乱の首謀者・伊東鴨太郎だった。
自我を取り戻した土方は伊東と刀を交える。
伊東の一太刀はパトカーの左後輪を跳ね飛ばした。
制御不能となったパトカーは、後方の車両に今にも接触しそうな距離にまで迫られている。
「新八君! 主舵一杯ィィィ!」
「無理ですって!」
○○は後方に目を向ける。
列車との距離はますます近づいている。
土方と神楽が間に入っているが、人力では限度がある。
まず二人が押し潰されてしまう。
「神楽ちゃん!」
「後ろ!」
神楽の背後から攘夷浪士が刀を振り上げる姿が目に入り、○○と土方は声を上げる。
男の刀が神楽に届くことはなかった。
振り下ろす前に、彼は飛んで来た列車の扉によって撃退された。
「総悟!!」
開いた扉の向こうには沖田がいた。
沖田の背後には血だらけの隊士達が横たわっている。
伊東に恭順し、近藤暗殺を企てていた隊士達を沖田は一人で葬った。
近藤と沖田、○○が列車へと乗り込む。
列車に乗り込んですぐに背後からバリバリという金属の軋む音が耳に入った。
振り返った○○の目に飛び込んだのは、バイクの前輪に弾き飛ばされる銀時の姿。
「ぎ、銀さん!!」
「銀さんんん!!」
さらには大きく迫った前方の車両。
自分達の乗る車両と前の車両に挟まれ、パトカーは今にもペシャンコに潰されそうになっている。
「新八君、神楽ちゃん!!」
未だパトカーの屋根上にいる二人に○○手を差し伸べた。