第46章 【第四十五訓】真選組動乱篇 其ノ二
「真選組内で今何かが起きている。そういう事ですか」
土方を連れ、万事屋一行は刀鍛冶の鉄子の所へ向かった。
土方が妖刀と呼んでいた刀を見せると、それは名刀『村麻紗』に間違いないと言った。
母親に斬られた引きこもりの息子の怨念がこもった妖刀。
『村麻紗』を腰に帯びた者は怨念にとり憑かれヘタレたオタクになってしまうという。
まさに今の土方の状態。
「○○さん、他には聞いてないんですか」
○○は首を振る。
鍛冶屋からの帰路、○○は山崎からかかって来た電話のことを話した。
土方が謹慎処分となり行方をくらませたこと。
土方を捜してもらおうと万事屋へ行ったらそこにヘタレたオタクと化した土方がいたこと。
詳細は○○も聞いていない。ただ、不穏な空気のみを感じる。
「あの土方さんがよりによって僕らに頼み事するなんて」
○○は視界の端で後ろを歩く土方を捉える。
鍛冶屋にいる最中、本来の土方が一瞬だけ自我を取り戻した。
――真選組を護ってくれ。
そう告げて再びヘタレたオタクへと戻ってしまった。
「ともかく山崎に話を聞いてみないと」
夕方に万事屋へ行くと言っていた。
今から戻れば、前後して山崎が訪れるはずだ。
そのはずだった。