第44章 【第四十三訓】集え、バベルの勇者達!!の話
昼までのアルバイトを終え、○○は『スナックお登勢』に一旦帰っていた。
荷物を置いて万事屋へ向かおうと扉を開けた所に、
「うわァ!」
突然、空から女の子……ではなく、ロン毛の男が降って来た。
仰向けに横たわった人物。それは○○の知る顔だった。
「東城さん!?」
柳生四天王筆頭にして、夜な夜な風俗通いに勤しむ変態。東城歩。
○○は空を見上げる。雲一つない晴天。
結野アナの天気予報によれば、本日は全国的に秋晴れ。
所により東城が降るでしょう、とは言っていなかった。
「東城さん」
声をかけても、彼は倒れたまま微動だにしない。
○○は東城を避けて万事屋への階段へ足を運ぼうとした。
「○○殿!」
「ギャア!!」
だが、突然起き上がった東城に両手を握られた。
「離せ!」
振り回して解こうと試みるが、思いの外、力が強くて剥がせない。
「あの者達はお話になりません!」
「何!?」
唾がかかりそうな程の至近距離で大声を出され、○○は顔を反らす。
「万事屋で話が通じるのは貴女だけぁぁ――!」
ようやく、○○の手からその手は離された。
○○は足元に目を向ける。今度はうつ伏せに東城は倒れている。
その顔を地面にめり込ませて。
その頭に男の両足が乗っている。
「汚ねー手で○○に触ってんじゃねェ」
「銀さん!」
その足は銀時のもの。
銀時は二階から東城の脳天目掛けて飛び降りた。
「何をするのですか、銀時殿! 二度も!」
東城は銀時の足を押しのけて顔を上げた。
先程東城が空から降って来たのは、銀時、それから神楽と新八に蹴飛ばされたせいだった。
「○○の手がローションまみれだろーが。何だこのヌメヌメ。本当にローションか? ローションなのか? なんか白くねーか? あ?」
銀時は何度も東城を足蹴にする。
「ヌメヌメになってないよ。そう言われると気持ち悪いからヤメて」
○○は銀時の着物で両手を拭う。