第42章 【第四十一訓】沖田姉弟と気にくわねェ野郎の話 其ノ一
「ホントは……あなたも友達なんかじゃないんでしょ」
銀時が無理矢理つきあわされたことにミツバは気づいていた。
「友達くらい選ばなきゃいけねーよ」
「大丈夫だよ、総悟は。根はしっかりしてるよ」
「根無し草の俺と違ってな」
俺みたいのとつき合ってたらロクなことにならないと言う銀時の言葉に、ミツバは小さく微笑んだ。
「どうりであの子がなつくはずだわ。なんとなくあの人に似てるもの」
「あ?」
ミツバは銀時から○○に視線を移した。その表情は悲しげに見えた。
そういえばと、○○はレストランで見た顔を思い出した。
あの時、ミツバが一瞬だけ見せた表情と同じだ。
「オイ」
背後からヘッドライトの明かりが差し、○○は振り返った。
その明かりは間近にあった。眩しさに目を細める。
その車体はよく見知った白黒だった。
車は停車し、中から二人の人物が降りて来る。
「てめーら、そこで何やってる」
降りて来たのもよく見知った人物だった。
「トシ?」
助手席側から降りて来たのは土方だった。
○○は目を細めて運転席側に立つ隊士を見る。
暗さと逆光で顔がよく見えないが、髪型はアフロだ。
こんな隊士が真選組にいただろうか。
「と……十四郎さ……」
土方の姿を目にしたミツバが、突然咳込んで地面へと倒れこんだ。
「ミツバさん!」
「しっかりしろ! オイ!!」
○○と銀時は両側からミツバを覗き込む。
ヘッドライトに照らされた顔色が青白い。
「総悟呼び戻して来る」
○○は沖田が去った方へと駆け出した。