第41章 【第四十訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ五
「それでは、新郎新婦どうぞ前へ」
銀時と沖田が厠へと去った後も、式はつつがなく進行されて行く。
男性二人が滑車を転がし、大きな台を押して来る。台の上にはふわふわの布団と大小の枕。
○○、新八、神楽の前にバブルス王女の巨体が横たわる。
「新八君、神楽ちゃん、回れ右」
○○は新八と神楽を入口側へと向けさせた。
銀時が席を立っている今、二人の保護者は自分しかいない。
十八歳未満閲覧禁止の事柄を二人の目に触れさせるわけにはいかない。というかこんなものは、○○自身も見たくない。
新八はバナナを持って帰ろうとタッパーに詰め込み、神楽は○○の言いつけを守らずに再びバナナ入刀の方へ目を向けた。
近藤はバブルス王女に襟首を掴まれ、その手に落ちようとしていた。
その瞬間、突如飛来した長刀が壁に突き刺さる。襟を貫かれた近藤の体は、長刀により宙吊りにされている。
「お妙さん!」
「姉上ェェェ!!」
威風堂々と乗り込んで来たのは、妙だった。
「アネゴォォォォ!!」
通夜の様相を呈していた真選組の隊士達は一転、沸き返る。
「護れェェ!! 局長と姐さんの愛の道ををを!!」
近藤に向かって一直線に走り出した妙に、○○は目を向ける。
沖田が○○に命じた披露宴ぶち壊し計画の妙バージョン。近藤の手を握り、そのまま逃走――かと思いきや、
「弟に何とんでもねーもん見せてくれとるんじゃァァ!!」
妙はバブルス王女に蹴りを食らわせた。壁へと吹っ飛ばされた王女の頭に、吊られている近藤は押し潰される。
近藤ではなく、両手に新八と神楽の手を握り、○○を促して妙は逃走。
「姐さんんんんんんん!!」
近藤奪取のために乗り込んで来たと思った隊士達からは悲鳴に近い叫びが轟く。
「いいの? お妙さん。近藤さんが旅立っちゃえば、ストーカー被害もなくなったのに」
○○は妙に目を向けた。
返って来たのは言葉ではなく、久しぶりに見る笑顔。
怒ったバブルス王女は暴れ出し、近藤の目論み通りとは言えないまでも、披露宴はぶち壊された。