第40章 【第三十九訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ四
庭先にたどり着くと、九兵衛が庭に、新八が縁側に立っているのが見えた。
同時に聞こえた新八の言葉。
「ふざけるな!! 女の身でありながら姉上と結婚!?」
九兵衛は女――新八はそう言っている。
「え? 女って……」
○○は驚く。近藤も驚いている。
「僕らは男も女も越えた根源的な部分でひかれ合っている」
――お妙ちゃんの隣にあるべきは僕
――男だ女だとつまらん枠にとらわれる君達に僕は倒せん
「そんな脆弱な魂で大切なものが守れるか」
九兵衛の言葉を聞く○○の表情は険しくなる。
妙の隣にいるべきは僕?
大切なものが守れるか?
妙の何を今、九兵衛は守れているというのか。
「勝手なことを」
新八は木刀を握った。
「ぬかしてんじゃねェェ!!」
新八の一太刀を九兵衛は軽々と受け止める。
連続して繰り出す新八の打ち込みを全て受け止めながら、九兵衛は塀の上へと上がった。
新八の一打を受ける九兵衛の横、もう一組、刀を合わせながら塀の向こうから二人の人物が現れた。
「銀さん!」
塀の向こうから声を上げながら現れたのは銀時だった。
銀時と刀を交えているのは、○○の皿を割ったあの老爺。
恐らく柳生方の大将。
「これ以上、柳生家の看板に泥を塗ることは許さん!!」
「あ! 見張っとけって言ったのに!!」
輿矩が門下生達を引きつれて現れた。
彼に雇われている女中達が主を拘束するのは、やはり難しかったようだ。
「ひっとらえろォォ!!」と彼等が銀時と新八へと一気に走り出した瞬間、
「近藤さん!」
沖田の向こうから近藤が走り出した。
その背を追うように、○○も走り出す。木刀を握る。
「侍の決闘を邪魔することはこの悟罹羅勲が許さん!!」
○○が近藤に続き、さらには沖田と土方、神楽も姿を現した。
最後の勝負。銀時と新八に全てを託し、○○ら五人は決闘の邪魔に入る門下生達を食い止める。