第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
「山崎! 総悟も!」
大江戸信用金庫はパトカーに囲まれていた。
真選組隊士が犯人の説得にあたっている様だが、規制線が張られているためにそれ以上は近づけない。
規制線で野次馬対応にあたっていたのは警視庁の刑事だったため、融通を利かせて通してもらうことは出来ない。
○○は野次馬に紛れて様子を見る。
やがて背後からブオオオオと音を立て、一台のパトカーが近づいて来た。
野次馬も規制線も目に入らぬように、速度を落とさずにつっこんで来た。
野次馬、さらには警視庁の刑事も慌てて道の端へと逃げる。
暴走パトカーは大江戸信用金庫の前でようやく停止した。
一匹の緑色をした着ぐるみを跳ね飛ばしながら。
「あれ、近藤さんだったんだ……」
パトカーから妙な着ぐるみが降りて来たのは、野次馬の間から見えていた。
跳ね飛ばされてこちらに顔を向けたため、その中身が見えた。
えいりあん型の着ぐるみの歯の間から、白目を剥いた近藤の顔が見える。
「えいりあんがなんぼのもんじゃーい!」
と、勝鬨を上げながらパトカーから降りて来たのは土方だった。
時を同じくして、大江戸信用金庫に動きがあった。
「誰か来る!」
ガラス戸に映るシルエット。