第4章 【第三訓】武装警察 真選組24時!!の話
○○は一つ溜め息を吐くと、河原へと下りた。
「近藤さん、帰りましょう。日が暮れちゃいますよ」
近藤の顔を覗き込む。
「夕飯は何がいいですか。失恋の慰めに、近藤さんの食べたいもの、何でも作りますよ」
○○が何を問いかけようが、近藤はピクリとも動かない。
「ダメだこりゃ」
どうしたものかと考えあぐねている○○の耳に、思いがけない言葉が聞こえた。
「○○……?」
「――……え?」
振り返ったそこには、倒れている銀髪男。
テレビクルーを引き連れて、土方はやって来た。
視線の先には、女を奪い合って決闘をしていたという男、局長近藤。
そして、
(……○○!?)
近藤の惨めな姿を映そうとしているテレビクルーをタコ殴りにし、土方は土手を駆け下りた。
「何してんだ、○○!」
「トシ!」
「俺ァ、近藤さん連れて先に戻る。お前はあとから帰って来い」
土方は素早く近藤を担ぎ上げた。
橋の上にテレビクルーがいると知れば、○○はまた映ろうと画策するだろう。
すぐに復活するであろうクルーと、○○を対面させないために、土方は急いで土手を駆け上がった。
だが、○○の中からは、既にテレビ取材のことなど消えていた。
土方の背中を見送ると、○○はその目を銀髪男に戻した。
最期の一言のように○○の名を呟いたその男は、気を失って伸びていた。