第6章 丁子桜
翌朝、仕事のため稽古終わりのみんなとは行き違いになっちゃうけど朝6時、レッスンルームに向かった至さんの姿を見れたからひとまず安心していた。
サラダに、サンドイッチ、ウィンナーとスクランブルエッグ、コーンスープにヨーグルトと果物。
「かんぺき。」
今日は洋食風。
…夜ご飯は生春巻きにしよう。
その前に買い物か。
1日の流れと今日の献立を考えて、仕事に行く支度をする。
もちろん、置き手紙も忘れない。
「あれ、もう行かれるんですか?」
「ええ、まぁ。支配人こそ、この時間に起きてるの珍しいですね。」
「眠いんですよーでも、監督に頼まれてましてぇふぁあっ」
「?」
「初代OBの方に来ていただけるよう、取り計らってくれないかーって。芽李さんの入れ知恵みたいですねぇ」
「入れ知恵って言い方」
「ありがとうございます」
「…支配人、」
「さーて、私も頑張りますよ!!」
少し照れたようにわらって、頑張るぞーっと言いながらどこかに行ってしまったボロボロのスーツの後ろ姿に、今はもう哀愁は感じない。
みんなが来てくれたお陰だ…きっと。
防音のため、ここに声は聞こえてこないけど、この状況にどうしてこんなに安心しちゃうんだろう。
「頑張れ、みんな…」
私も負けられない。
ーーーーーー
ーーー
事件が起きたのは翌日のことだった。
「待ってください!どちらさまですか?!」
「鹿島雄三って言やぁわかるか?」
チャイムが鳴ってそれにドアの部を回せば、我が物顔で入ってきた目の前の男に全身ジロジロと眺められ居心地の悪さを感じていると、ずかずかとさらに奥へと進んでく。そう、慣れてる感じだ。
当たり前なのだ、だってこの人が…
「邪魔するぜ。って、ここにゃいないのか。奴ら、どこにいる?」
「レッスン室です、支配人も多分そこに」
「嬢ちゃん、アンタ稽古見たことあるか?」
「え、いや…‥私は寮内のことをするのが仕事なので、」
「へぇ。」
この人が、初代春組…