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3月9日  【A3】

第6章 丁子桜


 「ただいまーっ、」

 返事がないことで、まだみんなが稽古をしているんだろうと察する。

 お風呂と夕飯の用意…

 そういえば咲、ナポリタン食べたいって言ってたっけ。
 付け合わせに作ろうかな、

 ー…がちゃっ

 「あれ、帰ってきてたんだ。おかえり。」
 「至さん、ただいま戻りました!お疲れ様です」
 「ん。ありがとう」
 「みんなは?」

 その問いに一瞬顔を歪めた至さんに何かあったのかと思いつつ、話題を変えようとすると

 「まだ稽古してるみたい。俺は体調優れなくて…あんまり体力ないんだよね。」
 「なるほど。…あ、夕食は?」
 「んー、」
 「お腹にやさしいかんじの、何か、うどんとか」
 「…じゃあさ、みんなと同じで良いから後で部屋に運んでくれないかな?俺は最後でいいから。」
 「わかりました。他にも、何かあったら言ってくださいね」
 「ん。」


ーーーー
ーー

 みんなが談話室に来たのはそれからしばらくしてだった。

 ギスギスとした少し悲しくなるような雰囲気でなんとなく声はかけずらい。

 「みんなお疲れ様!お風呂もご飯もできてるよ」
 「俺お風呂先に入る。」

 「真澄くん…」

 「いいよ、咲也ほっとけ。あんなやつ」
 「2人とも、夕飯食べるネ!腹がぱんぱんでも戦は嫌ネ」
 「いや正論だけど!
 腹が減っては戦はできぬだろ、それを言うなら。
 それだとただの感想になっちゃうから」

 シトロン君はムードメーカーだな…と思いつつ、夕飯を運べばぱああっと明るい笑顔になる咲。

 「佐久間君のリクエストに答えてナポリタン、少しだけど作ってみたんだ」
 「ありがとうございます!!」
 「サクヤばっかりずるずるヨ〜っ私も甘エビの握り食べたいネ」
 「甘エビの握りかぁ……………………んーー…ん、わかった。考えてみるね。」
 「やったネ♪ツヅルはなにがいいヨ?」
 「俺はかたやきそばが…って、そんなにリクエストしたら大変だろ!俺達も手伝うんで、なんでも言ってくださいね!」

 「ふふ」

 「どうしたんですか?」
 「んーん、なんでもない。リクエストはそのうちお応えするとして、あったかいうちに召し上がれ。」

 「「「はいっ」」」

 そうしてるうちに、支配人やいづみちゃんが戻ってきて…だけど、みんなが起きてるうちに真澄君が戻ってくることはなかった。
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