第5章 小彼岸
綴君が部屋にこもって1週間。
集中がすごいようで、私が部屋に入っても気付かずにいる。
ご飯を置いておけば無くなってるからそこは大丈夫だと思うんだけど、学校にも行ってないみたいだし。
「心配だな……」
「何が?」
「え?…あ、至さん」
至さんは、あの日2人で出かけてからと言うもの、よくこうやって話しかけてくれるようになった。
「何が心配なの?綴のこと?」
「まぁ、はい。あれから全然部屋から出てこないし、いづみちゃんも心配してるし…」
「ふーん……」
興味なさそうに言う至さんに少しモヤっとして言ってしまった。
「至さんは、…その今楽しいですか?」
「…なんで?」
「え?」
「綴の心配と俺の楽しいかどうかは関係なくない?」
たしかに、私なんでこんなこと聞いたんだろう。
「ほんとだ、なんででしょう?」
そうしてるうちに他のみんなも起きてきて、なんとなく助かったと思ってしまった。
気を抜いたら余計なこと、言っちゃいそう…
本当ダメなやつだ、私。
起きてきたメンバーと、至さんが何かを話してそのまま談話室を出たことをただ、ぼーっと見つめてしまった。
「芽李ちゃんも行く?」
「…」
「お前、監督の話無視するな」
「酒井さん?」
「メイもどこか悪いネ?」
みんなが集まってきて、ハッとする。
「あ、ごめん!聞いてなかった!」
怪訝そうな顔をするみんなにもう一度謝って、説明をうける。
行っていいのかな、私が…
「…あれ?そういえば至さんは?」
「何言ってるネ、さっきたいちょーさんが悪いからパフェって言ってたヨ」
「体調が悪いからパス。アンタ日本語おかしすぎ。
アンタもぼーっとしすぎ。ちゃんと話きけ。」
まぁまぁと真澄くんを宥める咲が私を向いて、にっこり笑って言う。
「酒井さんも予定がないなら、一緒に行ってくれませんか?」
咲にそんな顔されたら、断れるわけない…
「うん、一緒に行こうかな。いいかな?」