第27章 楊貴妃
「収納ボックスどっちにしよう」
宣言通り昼食後買い物に連れてきてくれた千景さんは、珍しくずっと私のそばを離れない。
「どっちも買えばいいんじゃない?どうせ増えるんだし」
「そうですけど、そのうち貸し倉庫必要になっちゃいますよ」
「そしたら広い部屋に引っ越せばいいでしょ」
しれっと言ってのけた千景さんをばっと見れば両手を上げて降参ポーズ。
「冗談だよ」
たまにこう言うこというから、私はたまに本当にこの人と結婚してよかったのかなと、疑いたくなる。
「でも、処分できないんでしょ」
「そりゃそうですけど」
「じゃあ、仕方ないでしょ」
「そうやって移り住んでいったら、いつかお城に住まなきゃ行けなくなっちゃう」
「それもアリじゃない?」
「千景さん忍者屋敷とか似合いそうですもんね」
「…こっちもいいんじゃない?」
「あからさまに話晒しましたね?」
「芽李がいるなら、俺の帰る場所はそこだから」
「っ、」
「あとは何か買う物ある?」
「な、ないですけど!」
スタスタと歩いて行く千景さんの歩幅に合わせるよう、小走りに追いかける。
千景さんはたまにああ言うこというから、油断ならない。
「照れた?」
「せ、ん略てきには?結構ありだと思いますけど」
「慣れたね」
「千景さんこそ、デリカシーのなさは健在ですね」
「他の奴じゃ物足りなくなっちゃうんじゃない?」
「まず千景さんの顔の良さでこられたら、大抵の子には美の暴力的なので、物足りなくなっちゃうんじゃないですか」
「褒め言葉として受け取っておく」
ようやく追いついて、隣を歩けばまたどう言うわけか、今度は千景さんが私の歩幅に合わせてくれる。
「お会計したら、荷物は届けてもらおうか」
そんなに購入したわけでもないけれど、そういうならそれでもいいか。
千景さんの物もあるし、なにか理由でもあるんだろうから。
「夜ご飯は、外でいい?」
「外食!」
「決まりだね」
ウキウキしながら会計を通すと、ピッと、電子決済をしてしまった千景さんがテキパキと配送の手続きを進める。
「千景さん」
「もうすぐ誕生日でしょ」
「全然まだまだですけど」
「そうだっけ?じゃあ、前借りってことで」
釈然としない気持ちに、なにか企んでる?と眉を寄せる。