第24章 紅豊
もう紬を迎えに行ったかの確認。
さすが紬の保護者。
ついでに言うと、紬の相手が誰だったかもわかってたらしい。
手が悪いな。
紬も、丞も。
紬を回収するから、途中で落ち合おうって言われた。
いらぬ気遣いだ、まったく。
甘んじてありがとう。
電話を切って、少しドキドキしながら告げる。
「丞、終わったみたい。
途中のコンビニで紬、回収してくれるって。
だからコンビニ寄ってもいい?」
「はい」
「ごめんね」
場所が悪い。俺が改めて芽李を意識したあのコンビニ。
数ヶ月前なのに、もう懐かしい。
車が一台止まっていて、それが丞のだと芽李に教えながら、駐車場に停めた。
俺がエンジンを停めたタイミングで、丞が降りてくる。
俺と同じように車の外に出た芽李は、当たり前に丞を知っていた。
「茅ヶ崎、悪いな。…って、お前」
はぁ、悪い顔してる。
全部わかってた癖に。
「こんばんわ、丞さん」
「紬と飲んでたのお前だったのか」
「えぇ」
「…そっか、悪いな。迷惑かけなかったか?」
「いいえ、楽しかっですよ。明日、朝練あるのにすみません、酔い潰しちゃいました」
よくない、よくないぞー。
「…ふ、いいや、大丈夫だ」
さすがゴット座元トップ役者。
「丞、俺と芽李への当たり違い過ぎない?俺ゲームのイベの途中だったのにさー。
まぁいいけど」
「茅ヶ崎も、ありがとうな。じゃあ2人とも、…じゃないな、茅ヶ崎、常識の範囲内で、な?」
「ご忠告どーも。じゃあ、紬のことよろしく」
「あぁ」
「さ、芽李、送ってく」
「あ、はい。あの、これ紬さんの荷物です」
「あぁ、ありがとう。紬に変わって言っておく、茅ヶ崎だから大丈夫だとは思うが、お前も気をつけて帰れよ?」
「はい、丞さんも。舞台、頑張ってください」
ぺこりと頭を下げたのを見届けて、芽李を助手席までエスコートする。
柄じゃないな、さっきからと、エンジンをかける。
「至さん」
久しぶりに、ドキドキするんだよな。
車内に2人だし。
「…何?」