第22章 大白

万里　side

　「んじゃ、俺もうそろそろ帰ります。コレ、ありがとうございます。明日、タッパー返しますね」
　「いいのよ、いつでも」
　「いえ、毎日来るって芽李さんと約束したんで。ついでに力仕事手伝います」
　「助かるわぁ」

　おばあちゃんにニッコリと笑って、背中を向ける。

　「良い子じゃないの」
　「…ですね」
　「私はどっちでもいいわよ。ただ、少し寂しくなるくらいで」
　「寮には戻りませんよ、絶対」
　「ふふ、そう。でも、私が独り占めしてるのを知ったら、左京ちゃんがヤキモチ妬いちゃうわね」

　そんな会話を聞きながら、俺は1人帰り道を歩く。
　さて、コンタクトは取れたけど、こっからが手詰まりだな。

　「あれ？万里何してんの」

　ききーっと、道に寄せられた見慣れた車。
　全く、タイミングが良いんだか、悪いんだか。

　「うわー、荷物いっぱいだね」
　「まぁな」
　「じゃあそう言うことで」
　「は？乗せてってくんねぇのかよ！声かけといて！」
　「うそうそ。からかっただけ」
　「信じらんねぇ」
　「じゃあ、可愛くおねだりしてみて」
　「はぁ？」
　「至にぃちゃん乗せてって？ってさ」
　「それ、誰需要？」
　「俺」
　「ったく。至にぃちゃん、乗せてって？」
　「うえっ」
　「やってらんねぇ」
　「うそうそ、乗って良いよ。ほら」

　変な余興に付き合わされて、カロリーも消費したところで助手席へと乗り込む。

　「で、その荷物なんなの」
　「三角との約束だそうです」
　「一応聞くけど、誰と三角の約束？」
　「さぁ？」
　「はぁ？」
　「みんなで食べて良いって言うから、至さんも後で食って良いっすよ。ついでにコレも。
　至さん飯まだでしょ？」
　「いやー、それが食ってきたんだよね。割とお腹いっぱい」
　「残念。今となってはレアアイテムなのに」

　流れる景色を見てたらいつの間にか寮について。

　「置いといたら、すぐなくなるかもな」
　「そんな大袈裟な。ただの肉じゃがでしょ？」
　「食ったら分かるんじゃないっすか？
　俺はもうたらふく食べてきたんで、じゃあ、ありがとうな。至さん」

　パタンとドアを閉めて、荷物を手に寮に入る。

　「わぁ、何その荷物半端ねぇ」
　「一成も手伝え。1番のファンからの差し入れ兼、三角との約束らしいから」
　「いいけど、なにそれ」